音質改善のためのクリーン電源装置の使用

“龍ヶ崎ゲヴァントハウス”のオーディオ装置は、mizuさんの努力によって可能な限り原音再生に近づきコンサートホールで体験できる音になるように活動しています。勿論、設置しているオーディオ再生装置そのものも数々の工夫や改良を重ねてきています。一度でも当会の会場に来られた方は、まず驚かれると思いますが再生装置は手作り感が溢れた装置なのが一目でわかると思います。いろいろと調整・改良を重ねた結果、現在の形になっています。いろいろな特徴があるのですが、実は再生音の大基になる「電源」にも秘密があります。スピーカーから再生される音(空気を振動させるエネルギー)もその基は家庭の壁コンセントから供給される交流電源を利用しているわけですから電源の質は重要です。
交流電源の質:ご存知の方もいらっしゃると思いますが、昨今はこの交流電源にもオーディオ再生音を劣化させる状況が潜んでいます。「へえー、そんなことが有るのですか? 」という方もいると思いますが、いま流行りの省エネ対策として積極的に推し進めてきた電気製品の中には低消費電力技術やインバーター制御技術などが有ります。その技術にはいろいろな半導体素子が使われていますがその回路は電力系統から供給された交流正弦波電力をそのまま使わないで、正弦波電流のある一部分の電流のみ使用する仕組みとなっています。そのため、元の電源波形が影響を受けて歪み、正弦波波形から違ったものになっています(図1参照) 。

図1 きれいな50Hz正弦波(サイン波)形と歪んだ家庭コンセント電源波形

また、LED照明などに利用されているスイッチング電源の中には、ノイズとなる高調波を発生する製品も多くあります。その他、インバーター制御のエアコン、冷蔵庫、テレビ、パソコン、LED照明、携帯電話の充電器、炊飯器などがオーディオ再生に影響を与えている事があります。
電源環境の改善:当会のオーディオ装置は、mizuさんが独自に開発した「クリーン電源」装置を通してきれいな交流電源として使用しています。その為に、歪んだ交流正弦波形は補正され本来の正弦波形になり、また混入していた高調波成分も取り去られています。この装置の原理は、パテント承認された独自の技術です。また、オーディオメーカーにも採用されてクリーン電源装置として販売されています。一般的にクリーン電源装置には2種類のタイプがあります。一つは、電源を使用しないパッシブ・タイプで内部にコンデンサーやコイル、抵抗等の受動素子を組み合わせて構成された「フィルター」と呼ばれるもの。もう一つは、アクティブ・タイプでこちらは電源を使用する。つまりトランジスター等の能動素子で構成されています。さらに、このタイプは2つに分類されており。ひとつは、電源波形そのものを再生成するタイプ。もう一つは、波形の歪だけを補正するタイプに分かれます。前者はリ・ジェネレーターと呼ばれ何らかの形で得た正確な正弦波を増幅して出力し交流電源として利用するものです。見方を変えれば交流100Vを供給する50Hz又は60Hzの信号を出力する大出力アンプです。後者の補正型タイプは、大基の電源波形の歪成分を検出し、これを元の波形と足し算・引き算して正確な正弦波形に補正し出力するものです。mizuさんの開発したクリーン電源装置は、この補正型タイプになります。実際の測定データでは、図2の様に歪んだ交流電源の波形が図3の様にきれいな正弦波に補正されています。

図2 歪んだ交流電源波形

図3 補正されたきれいな正弦波形

補正の仕組み:少し専門的になり申し訳ありません。補正の仕組みの概略を説明しますと、具体的な補正の動作は直接交流100Vの電源に対して直接足し引きを行うには電圧が大きすぎますので、まず電源信号のサンプルを採ってきます。具体的にはトランスを通して電圧を下げた電源信号を得ます。これと比較する為に、基準となる非常に正確な基準電圧をデジタル的にPCM技術により内蔵のROMメモリにデジタルデータとして50Hz、60Hzのサイン波形を保存しています。これを読みだしてD/A変換しローパスフィルターを通して正確な基準正弦波形を創り出しています(第一のポイント)。次に、この二つの信号の比較の仕方(第二のポイント)は、元の電源信号から波形の極性が切り替わるタイミングを検出し比較する波形どうしを完全に同期した状態で差分演算を行い歪成分だけを抽出しています。そして、この歪成分を電源信号に重ねれば歪を相殺することができます。補正された交流正弦波形を見るときれいな正弦波になっていますが、波形が綺麗になっただけではありません。壁コンセントからの電源入力とクリーン電源装置からの出力のスペクトラムの違いを比べてみると全高調波歪率(THD)が大幅に低減されています。これは縦軸に歪率、横軸に周波数(100Hzから20KHz程度)を採ったスペクトラムを分析しますと波形だけでなく大幅に高調波成分(ノイズ成分)が減少している事が判ります。家庭用電源には、大量のノイズ成分が存在していますが、クリーン電源装置を用いる事によって大幅に低減させることが可能になるのです。こうした高調波成分は音質上ノイズとして作用し音を濁す原因となっていますので、当会もクリーン電源装置によりオーディオ装置のS/N(シグナル/ノイズ比)を大きく改善することでクリアな音をお届けすることができております。