"mizu"設計製作によるオーディオ・システム(2020年1月18日まで使用した装置)

「ゲヴァントハウス」が2020年1月18日までオリジナルCDコンサートを行った会場

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バックグラウンド

昨今のオーディオ業界の動向を分析してみますと、デジタルアンプ・デジタルのハイビット化・ SACD・DVD等の高忠実度・高分解能の向上のみに技術が注がれ、デジタル商品が市場を圧倒しています。 80年代からCD(コンパクトディスク)が隆盛を極め、アナログレコードが衰退の一途をたどり、 真空管アンプの奏でた音楽性豊かな響きは過去の幻想と云われ、団塊の世代のノスタルジーとなっている。
しかし、音楽性という抽象的なものを具体的に説明するのは難しいものがあります。 料理の味覚、絵画の美にも似た美しさのエッセンスを解析して客観的に知らしめるには多少の無理がありますが、概要を述べたいと思います。 「一聴は百聞にしかず」ということで試聴していただければ良いのですが。

人の耳は20Hz~20KHz帯域での音を聞くことが出来ます。 楽音は多くの異なる波長の音から成り立っているが、バラバラの組み合わせでは雑音に他ならない。 周波数の配列が整ったものが楽音となるのです。  例えば、基音を「ド」とする。その音の周波数の5/4倍の周波数の音が「ミ」をなる。 3/2倍の音が「ソ」となる。 即ち、「ド」の波の数が4個に対して「ミ」の波の数が5個「ド」の波の数が2個に対して「ソ」の波の数が3個「ド」「ミ」「ソ」の配列が整っている。 3つ合わさって奏でるとドミソの和音となる。
このように基音の倍音配列が2,4,8,16,32,64,128,256……無数に続く。
それらの倍音は1/100000(10万分の1)以下の量であり、基音に付帯することにより芸術的な美しい音になっていくのです。 音のダイナミックレンジを示してみると次のようになります。

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料理のお吸い物に例えて考えてみよう。
出汁(だし)は鰹節(旨みの成分はイノシン酸)、昆布(海と山のミネラルを多く含んだ羅臼産、旨みの成分はグルタミン酸)を使用する。 鍋の中身(1リットル)に対して鰹節・昆布のエッセンスはわずか10mg程度である。 この量が、「-100dB」なのです。羅臼産と他の産地の違いは、「-120dB~-140dB」なのです。

次に、なぜ倍音が載ってくると良いのかについて考えてみよう。
内耳の蝸牛(渦巻き部)で倍音を認識することができる。 振動周波数帯域別の自動増幅の機能を持つ。倍音が付帯された音のみ聴感度が上がる。 騒音の中でも音を聞き分ける能力があるわけです。

結婚披露宴の会場で補聴器は全く役に立たず、むしろうるさく聞こえてしまう。 皿に触れるフォークの音や、テーブルのきしむ音を補聴器アンプが増幅歪みを産み、原音に倍音を付帯させるからである。
遠くに届く声の人は、ひそひそ話ができない(声量は他の人と変わらないのに)。
倍音を伴った発声をしているからです。
N響(NHK交響楽団)のヴァイオリニストの話。 ストラディヴァリウスだから遠くまで届く、ソプラノ歌手は声帯振動を頭蓋骨に共鳴させて倍音を付帯させる。 アルト歌手は頭蓋骨と胸板に共鳴させる。バス歌手は体全体を共鳴させる。美的に共鳴させる技が歌手の力量となる。

次に波動の特異性を述べる。
位相が180度ずれた波が合わさると消滅する。 目に映る現実世界で消滅して無くなるものが存在すると云うことは不思議なことである。 逆に、無から有を生じさせられるのも波動である。
オーディオ装置で機構本体が自己共振を持っていた場合、音響信号との重なりにより、 音が消滅することも考慮せざるを得ないから設計が難しくなる。

【美しい音とは】具体的な解析を試みよう。
録音媒体に記録出来ない「-100dB ~-140dB」倍音の付加展開の仕方について述べる。
展開の仕方として2つある。
第1は空間軸展開、第2は時間軸展開である。
録音媒体の原音に含まれていない倍音を瞬時、瞬時に付帯することを「空間軸展開」と云うことにする。
ある瞬間の原音の倍音が、ある時間経過した時の原音に付加されていくことを「時間軸展開」と云うことにする。
例えば、ギターの弦を爪弾いたとしよう。 これらの波動振動は弦を固定している支持部に働き、さらに複雑な振動を誘起させる。 これが空間に伝搬され(空間軸展開)「-100dB~-140dB」の倍音が生まれるが、録音分解能以下の大きさであることは明らかである。 また、弦振動はギター胴箱を共鳴させる。 波動は胴箱の端部で反射し、再び弦固定支部に戻ってくる。 そして複雑に倍音を作っていく。 倍音は時間経過とともに発生する(時間軸展開)。 「-100dB~-140dB」の倍音が生まれるが、これも録音分解能以下の大きさであることは明らかである。 そして瞬時の音の連続が波動となる。
従来のオーディオ装置は、忠実な再生のみに主眼が置かれてきた。 今回の提案は、研究開発によって生み出された倍音制御技術で、録音できなかった音楽性エッセンスを 原音から産み出し再生できることを可能としたオーディオ装置である。

【真空管アンプによる再生音の特徴】
・半導体アンプに比べて中帯域の厚みが大きい。{倍音を多く含んでいる。}{暖かみのある音である。}
・出力トランスの周波数特性が、上限200KHzまでとなっているためノイズ感が無い。{透明感のある音である。}
・出力トランスの残留磁束が歪みを誘起する。{音楽性美味エッセンス量にオーダーが合っている。}{響きの良い音である。}
・動作電圧が高い(300~600V)ため、電解コンデンサーのノイズが無視できる。{聴感上、S/N比が良い。}
・音響ルームからの弾性波動フィードバックを受けやすい。{これが音楽性につながる。}

真空管アンプは、それなりに美味エッセンスを満足している。 しかし、音響芸術をすべて満足するものではない。 半導体アンプも、真空管アンプには無い良い味を持っている。 原音に対する歪みの少なさは真空管を遥かに超えるものである。 出力パワーの点においても比ではない。
ここでの試みは、真空管アンプに代表するような美味エッセンスを、最適に回路技術をもって作り出して半導体アンプに組み込むことである。 双方の良いところを併せた完成度の高い音響芸術作品を半導体アンプとして提供するものである。

オーディオの音を評価する専門的な言葉を少しく述べよう。

・中帯域が厚い。{中帯域音に倍音が十分に付帯している。}
・「見とおし」がきく。{楽器群の演奏位置が明瞭にわかる。}
・低域がもたつく。{低域音の倍音が少ない。}
・音は良いが、「音楽性」が無い。{倍音の空間軸展開はされているが、時間軸展開が無い場合は、音楽性が乏しい評価につながる。}
・「天井音」が聞こえる。{シンフォニーホールでの天井反射音}{低域原音の倍音の時間遅れを伴って、付加されれば可能となる。}
・「押し出し」がある。{音圧が大きくなった時、歪み量(倍音量)が多くなる。これも音楽性評価の大きな指標である。}
・高域がきつい。{高域の厚みが大きすぎる。}
・「どんしゃり」である。{低域・高域の増幅度が大きすぎる。}
これらは、全て倍音の付帯具合に関与するものである。(mizu)