團伊玖磨50年の軌跡を聴く
團伊玖磨指揮・読売日響による交響曲全曲演奏会
〜1994年 9月28日サントリーホールにて〜
〜1994年 11月16日サントリーホールにて〜
〜1995年 2月13日サントリーホールにて〜
作曲家「團伊玖磨」に筆者が親しみを感じ始めたのは当時「日本テレビ系」で放送されていた「だんいくまポップスコンサート」(1967年~1972年)がきっかけだった。公開録画の会場は渋谷公会堂が中心だったと記憶しているがもちろん筆者も何度か会場にも足を運んだことがある。また番組のテーマ曲には戦後ラジオ歌謡としても大ヒットした自作の歌曲「花の街」(詩:江間章子)が使われ公演のフィナーレでは会場全員で合唱したことも印象に残っている。管弦楽は「読響ポップスオーケストラ(読売日本交響楽団)」で彼の「読響」との縁も深い。
さて今回のテーマは團伊玖磨の交響曲である。今回紹介する「交響曲全曲演奏会」は作曲家「團伊玖磨50年の軌跡」と題し彼の全6曲の交響曲作品を作曲者自身が縁も深い「読売日響」を指揮する3回シリ-ズの特別演奏会であった。この貴重とも云える公演に巡り合えたことは筆者も決して忘れることはないだろう(写真1 「團伊玖磨50年の軌跡」チラシ)。各回の演奏曲目は写真のチラシ公演日程プログラムをご覧いただければお分かりの通り各回に交響曲が2曲ずつとオペラ「夕鶴」からアリア(ソプラノ:中沢 桂)と間奏曲(9/28)、管弦楽曲「飛天繚乱(1991)」(11/16)、「管弦楽のための夜(1982)」(2/13)が演奏された(写真2 各回演奏曲目)。
團伊玖磨の交響曲は一言で表現すれば抒情性に富み聴きやすい。唯一4楽章形式をとる「第4番」は海外でも人気が高く筆者も好きな作品である。また「第6番<Hiroshima>」は1984-85年にかけて作曲された副題の通り「広島」をテーマにした作品だがスケール感もあり能管と篠笛を加え日本的な味わいを深く出し終楽章ではソプラノ独唱も印象的である。写真の「團伊玖磨交響曲全集CD」は1988年から89年にかけて「ウィーン・コンツェルトハウス」で「ウィーン交響楽団」とレコーディングされたもので指揮は「第1番」と「第2番」は山田一雄、「第3番」から「第6番」は團伊玖磨自身によるものである。能管と篠笛のソロはサントリーホール公演と同様に赤尾三千子、またソプラノ独唱はスロヴェニア出身のアナ・プサールが歌っている。尚、サントリーホールでの公演では「佐藤しのぶ」が客演した(写真3 「團伊玖磨交響曲全集CD BOX」)/写真4 「團伊玖磨50年の軌跡公演」チケット/團伊玖磨50年の軌跡交響曲全曲演奏会プログラム表紙)。