12月8日土曜:竹森道夫氏(元・NHK音楽プロデューサー)による特別講演会「歴史に翻弄されたメンデルスゾーンの真髄」を開催します

NPO法人“龍ヶ崎ゲヴァントハウス”からのお知らせ

特別講演会

「歴史に翻弄されたメンデルスゾーンの真髄」

~ユダヤ人だったために不当に評価された過去と再評価~

当法人はNHK音楽プロデューサー、NHK交響楽団演奏企画部長としてご活躍された竹森道夫氏をお招きし、「メンデルスゾーンの真髄」と題して、特別講演会(&CDコンサート)を行います。
メンデルスゾーン(1809~1847)の音楽はメンコン(ヴァイオリン協奏曲)に代表されるように「美しいが軽い」といわれるのが定番です。しかし、生誕200年を迎えた2009年頃から、世界中に散逸していた750もの作品が再確認され、大作曲家としての全貌が明らかになってきました。竹森氏は現地取材等からこの事を身を持って体験しており、メンデルスゾーンの真髄について、名曲の数々を織り込みながら熱く語ります。

以下、竹森氏の話です。

1984年、私はNHKのテレビ番組「名曲アルバム」の取材でカメラマンと共に、メンデルスゾーンの生地、ドイツのハンブルグを訪れました。当時、現地政府観光局にはユダヤ人だったメンデルスゾーンに関する資料や書籍はほぼ皆無でした。生家を尋ねても「判らない・・・」の一点張りでした。映像でつづるテレビ番組は風景とイメージだけの“ヘソ″のないものとなり、プロデューサーとして涙しました。かなり最近になり、「生家と掲げられたプレートをナチスに破壊されていた」ことを知りました。ライプチヒ音楽院前に立つ銅像も破壊されたとのことです。メンデルスゾーンの音楽をワーグナーは「音楽におけるユダヤ性」と誹謗しました。ヒットラーはこの言葉を利用し、メンデルスゾーンの全ての楽譜などを焼却する指示をしたのです。ハンブルグ観光局も「ナチ」という言葉を口にしたくなかったのだと思います。2001年から私は霧島国際音楽祭の仕事(事務局長)をするようになりました。ここで、メンデルスゾーンの音楽は「軽い いつもの定番」という先入観を激変させるできごとを体験しました。音楽祭監督、故ゲルハルト・ボッセ(氏は1955年から32年間、ライプチッヒ・ゲヴァントハウスの名コンサートマスター)によるメンデルスゾーンの公開レッスンでした。屈指の優秀な音大生トリオに対するレッスンは厳しいものでした。寡黙にして激しい情熱!音色ひとつ、フレーズひとつ、休符の感じ方、テンポの変わり目・・・、そのコダワリは鬼気迫るものでした。「えーっ、この曲にこんなメッセージが込められていたのか・・・」メンデルスゾーンの真髄に衝撃を受けるとともに、作品を生かすも殺すも演奏家の良心と洞察力と経験が必要だということを痛感しました。2009年、メンデルスゾーン生誕200年を期して、世界中に散逸していた全作品、750が確認されました。38年の生涯の命を削った作品群です。音楽ファンも襟を正して、メンデルスゾーンの音楽に向き合う時だと思います。

日時:平成30年12月8日(土)14:00~16:30

場所:竜ヶ崎ショッピングセンター・リブラ2階「旧映画館」(竜ケ崎駅徒歩5分)

講師:竹森道夫氏(元・NHK音楽プロデューサー)

1947年広島生まれ。71年NHK入局。「音楽の広場」「名曲アルバム」「ザルツブルグ音楽祭」などの演出・制作担当。NHK退職後、霧島音楽祭事務局長、サントリーホール・シニアプロデューサーなど。

曲目:
1)クラリネットソナタ 変ホ長調から

2)弦楽四重奏曲第2番 イ短調から

3)ピアノ三重奏曲第1番 二短調

4)フィンガルの洞窟(予定)

5)交響曲第3番 イ短調「スコットランド」

――― 休憩 ―――

1)ヴァイオリン協奏曲 ホ短調

2)オラトリオ「エリア」(予定)

3)弦楽四重奏曲第6番

入場料:無料

問合せ先:井原邦夫 電話090-3127-6558 cd4k-ihr@asahi-net.or.jp

NPO法人“龍ヶ崎ゲヴァントハウス”ホームページ:https://gewandhaus.sakura.ne.jp/wp/

生誕200年記念、ドイツで発行された切手(Wikipedia)