"nobu"のひとりごと(さようなら、最上の音楽空間 !)
2020年1月18日、「龍ケ崎ショッピングセンター リブラ」でのCDコンサートが幕を閉じました。
14年に渡るこの会場での思い出は尽きません。オーディオ装置は担当者mizuさんの日々の研究と、こだわり抜いた理論と設計、そして音に対する情熱の賜物だと思います。これは、われわれメンバーの誇りでもありました。 たとえば、夏、冬のエアコンに関しては、出来る限りスイッチを入れないという徹底ぶりでした。エアコンの空調によって音の質が落ちてしまうからです。 「今日は皆さんに良い音で音楽を楽しんでもらいたいので、エアコンは入れません。我慢できなくなったら入れますので、言ってください」。 こんな事もたびたびありました。 素晴らしい音楽に集中していると、不思議と暑さ、寒さも忘れてしまっていました。 選曲、音源探しと、プログラム作りは楽ではありませんが、コンサート終了後に、「今日は素晴らしかったですよ!」「感激しました!」、そして実際のコンサートと同じように「ブラボー!」と言ってくださるお客様。 これは作り手にとって最高の言葉のプレゼントでした。 そして、次も良い音楽、良い演奏を聴いてもらおう、という励みにもなりました。
著名な講師の先生方にも遠方から足を運んでいただきました。 記念すべき最初のゲストは「クラシック業界話題の新星レーベル”アルトゥス”」という演題でお越しいただいた代表の斎藤啓介氏でした。 いまやアルトゥス(Altus)といえば、ライヴ録音を中心とした数々のリリースで実績を積み上げて来た話題のレーベルですが、あの頃はまだ新星レーベルだったのが、なつかしく思い出されます。 NHK音楽番組サウンドエンジニアの辻本 廉氏には3回お越しいただきました。 FMエアチェック・ファンの私にとっては興味のつきないお話ばかりでしたが、名指揮者ディーン・ディクソン指揮NHK交響楽団の放送が実現したのも辻本さんのおかげでした。 残念ながら、辻本さんは2017年72歳で亡くなられました。 眞鍋圭子さんの登場も大きな出来事でした。 現在サントリーホールのエグゼクティブ・プロデューサーであり、かつてはカラヤンの秘書として、ベームの通訳としても同行され、著書などでもよく知られた眞鍋さんの講演が実現するとは夢にも思いませんでした。 “ミスター・グラモフォン”と呼ばれた元日本グラモフォン・プロデューサーの乙黒正昭氏は2回、ユニバーサルミュージックで40年に亘ってレコード録音・制作に携わってこられた常盤 清氏は自身が録音・編集を行った「霧島国際音楽祭」の紹介を含めて3回、元NHK音楽プロデューサー、NHK交響楽団音楽企画部長としてご活躍され、ワレリー・ゲルギエフとも親交の深かった竹森道夫氏にも3回お越しいただきました。 最近では、東条碩夫氏の講演が実現したのも画期的でした。 東条さんといえば、元FM東京音楽プロデューサー・ディレクターで、担当されていた「TDKオリジナルコンサート」はエアチェック・ファンの愛する番組のひとつでした。 現在はブログ「東条碩夫のコンサート日記」を公開、年間230回以上のコンサートに通う多忙人ですから、実現した時の喜びはひとしおでした。 演奏家としては初めてとなった、クリーヴランド管弦楽団在籍のヴァイオリニスト、白上 冴さんの講演も大盛況でした。 最多7回に亘って起こしいただいたのが、元フィリップスレコード・オランダ本社副社長で、現在はオーディオ研究家としてご活躍の新 忠篤氏です。 新さんは普段あまり聴くことの出来ないSPやLP録音を最高の音で再生して下さり、毎回われわれに驚きと感動を与えてくれました。 何よりこの会場の音を評価していただき、この会場の音楽空間を気に入ってくれたのが、われわれの誇りと自信にもなりました。 昨年12月、この会場での最後の講演会で、新さんも名残惜しそうに別れをつげていました。 それから約1ヶ月後、CDコンサートでの最後の幕が下ろされました。(nobu)
ありがとう「リブラ!」、さようなら「最上の音楽空間!」