"kazu"のひとりごと(SPレコード雑感 5)

SP雑感 5

蓄音機によるSPレコード再生で使う針は主に鉄針が一般的だと思いますが、鉄針には種類があるそうです。 通常は3種類と言われているようですが、メーカーによる違いなどもあり比較すると結構な種類があるように見受けられます。
通常は3種類に分かれているようでラウド・トーン(径が太い)、ミディアム・トーン(中太)、ソフト・トーン(細)と言われています。 名前だけ見ると音色、音質を変えるために区別がある様に思いますが、実は音質より音量を調性する為にあります。
太い針はSPレコード盤の振動をよくピックアップするので大きな音が出る。 細い針は逆に音が小さくなると言う具合です。電蓄が出るまでは電気回路的ボリュームが無かったので針の太さを変える事により音量調整したのです。
太い針は音量は大きいのですがSP盤への攻撃性が高く、細い針はSP盤にやさしいのですが出る音は小さくなるのです。 SP盤を長持ちさせるのか、大きな音で楽しむのかどちらかを選ぶ事になります。 どちらにしろSP盤は痛みますが。
ところで今でもSP用の鉄針は供給されているのですから大したものです。 でもソフトトーン(細、写真1)は見かけません。 扱いがあるのはミディアムだけのようです。 昔の様に何社もメーカーがある時代ではありませんから針が売られているだけでも感謝しないといけませんね。
電気、電子回路の無かった時代に先人達は実に様々な工夫を凝らして蓄音機で音楽を聴いていたのだと感心してしまいます。

写真1    ソフト・トーンの針とその入れ物。  比較のためにミディアム・トーンの針を置いてあります。