"hatakeshun"のひとりごと(オペラ「ローエングリン」)

お盆休み、孫(中学一年)が宿題持参で来宅。 冷房の効いた一階のリビングは孫に開放。 小生は2階の冷房付の自室で久しぶりにオペラDVDを鑑賞した。 演目はワーグナー作曲「ローエングリン」。2006年バーデンバーデン祝祭歌劇場ライヴ収録。

DVDを再生すると、神秘的な序曲がはじまる。 ケント・ナガノ(指揮者)談ー歌劇の序曲の中でも有数の名曲です。 第1に美しさ。 雰囲気を描出する独特の手法で作品中の多くが紹介されます。 技術的に難しいのは単に雰囲気のある空気感を出すことではなく、”無から生まれるような響き”です。 紗(しゃ)のかかった遠い響を維持するために弦は高音を弾き続けます。

ニコラウス・レーンホフ(演出)談:前奏曲では一条の光の中にエルザが見えてきます。 架空の道を通り前方へ歩いてきますが(写真)これはギリシャ悲劇の精神に基づいております。

ソルヴェイグ・クリンゲルボルン(ソプラノ/ブラバンドのエルザ姫)談:題名はロエングリン(聖杯王パルジファルの息子)ですがドラマの中心はエルザです。 出ずっぱりなんです。 第2幕の最初の10分休むだけです。 (上演時間206分)水も飲めなし、トイレにも行けない。 ただ、ズーッと舞台に居ますから流れには乗りやすい。 私たち歌手はチェスの駒です。 それぞれ違う役柄です。 正義の味方もいますし、悪役もいます。 レーンホフは各駒を全体の構図に収めるのです。 動きが50cmズレても怒声が飛んできます。 われわれ歌手は彼が描く絵を想定し、様々な絵を見せながら彼の要求に応え、しかも自分の個性を役に反映させていきます。

「ローエングリン」凄かったです。 行き詰るドラマでした。 エルザを演じたクリンゲルボルンではありませんが、水を飲むのもトイレにい行くのも忘れてしまいました。
「おじいさん、宿題できたよ」という孫の声で吾にかえりました。