"hatakeshun"のひとりごと(タイスの瞑想曲)

タイスの瞑想曲

クラシックファンなら誰でも「タイスの瞑想曲」を知っている。が、この瞑想曲が演奏される歌劇「タイス」を観た方は少ないのではないだろうか。そもそもタイスが遊女であるということを認識しているクラシックファンも少ないと思われる。
実はタイスは遊女(高級娼婦)であり、このオペラは遊女であるタイスが聖女に生まれ変わる物語である。「タイスの瞑想曲」は第2幕の第1場と第2場の間で演奏される間奏曲である。この間奏曲はタイスが悦楽と信仰の間で葛藤する姿を表しているといわれている。
ここでいう、悦楽とはなにか?信仰とはなにか?それを知るには歌劇を観るのが一番早道である。
2002年ヴェネツィア、マリブラン劇場で上演されたDVDを観た。主役のタイスを演じるエヴァ・メイが素晴らしい(写真1)。気品に溢れた遊女である。ところが驚いたことに彼女の乳房が見える。さらに半裸に近いダンサーが次々に登場する。つまり、これが演出家ビッツィが考えた“悦楽”の世界なのである(写真2)。実にリアルである。
ゲヴァントハウスの皆さんはこの映像写真を見てどう感じるだろうか?と思うとともに、「タイスの瞑想曲」を聴き流してはいけない・・・。ゲヴァントハウスの名解説で深堀りする機会を作って欲しい・・・と思った次第。(hatakeshun)

写真1 タイスを熱演するエヴァ・メイ(Sop)

写真2 演出家ビッツィが考えた“悦楽”の世界