hatakeshunのひとりごと(寺内タケシ追悼セミナー)

6月20日(2021年)頃だったと思う。 スマホのメッセージに「音屋セミナー」という告知があった。
差出先はジャズ喫茶「ノーチラス」とある。 同喫茶店で6月26日、19:00~行方洋一先生のセミナーを開催するという。 テーマは ”オーケストラの録音”。 行方さんは小生と同世代。 日本のポップス界の録音をリードしてこられた ”音職人”。

26日、夕刻、ワクチンの接種(第1回)を受けてから会場に向かう。 ノーチラスに入店すると、常連の方々で席はほぼ埋まっていた(定員約15名)。

行方さん「6月18日、寺内タケシさん(1939〜2021)が亡くなられましたので、プログラムを変更して、前半はタケシさんの追悼にします」とのこと。
行方さんも寺内さんも土浦のご出身。 ご自宅も近いとのこと。 2人が知り合ったのは土浦の自動車教習所だった。 60年も前ことである。お前なにやっているのと寺内さん「東芝レコードで録音をやっております」「そうか」。 以来、寺内さんは行方さんを「同県人」と呼んだという。 寺内さんはキングレコードの所属だったが、行方さんの企画で東芝レコードからレコードを出すことになった。 寺内さんはブルージーンズとブルーコメッツの2つのバンドを引き連れてスタジオに登場。 あまりの大音響にスピーカーがビビりそうなので、助手の坊やを重しがわりにスピーカーの上に座らせたという。
行方さんの解説で「アパッチ」「キャラバン」など、寺内さんの演奏が次々と再生された。 中でも小生の印象に残ったのは「さくらさくら」。 シュッシュッというリズムはSLのような推進力があった。 久しぶりにデンデケ、テケテケというロックバンドを満喫した。

第2部のオーケストラ収録の話も面白かった。 愛聴しているショルティ・シカゴ響のマーラーの「復活」のズズズーンという低弦音は会場の床が抜けるような響きだった。
団伊久磨(1924-2001)作曲の「交声曲”元の理”」は行方さんがご自身の「宝」と呼ぶ名録音。 トランペットのファンファーレが響くと、喫茶店は大ホールの音場空間に変化した。 録音当日、真夏だったこともあり、行方さんは短パンにTシャツだった。 「お前が録音するのか・・・」と、団伊久磨のひんしゅくをかったとのこと。