“hatakeshun”のひとりごと(ザルツブルグ音楽祭・4K生中継(上))

〜 ハイティンク90才。日本の聴衆は素晴らしい 〜

8月31日(土)NHK・BS4Kでザルツブルグ音楽祭の最終日の公演が生中継された。この日の演奏曲目はブルックナーの交響曲第7番。指揮は引退宣言したハイティンク(90才)。オケはウィーンフィル。以下、当番組で放送されたハイティンクのインタヴュー。

先ほどウィーンフィルから名誉団員の称号を贈られました。とても光栄です。これまで100回以上も共演したといわれて驚きました。時の経つのは早いものです。
(ザルツブルグ)音楽祭の思い出は学生のころまでさかのぼります。戦後まもなく聴いた演奏は忘れられません。フルトヴェングラー指揮ウィーンフィル、ブルックナー第8番でした。演奏会の後、その衝撃に浸りながら1時間以上も歩き回りました。カラヤンの第9にも感動しました。でも私はあの8番で魔法にかかったのです。
ウィーンフィルは特別です。音色とその方向性がすばらしく大好きなんです。
(引退の決心まで)長い道のりでした。まだ決心がつきません。指揮者仲間には年齢を重ねても活動を続けている人もいます。でも私は「彼は良い指揮者だったけれどもう年だね」とは言われたくないのです。最初は勉強のため休暇を取ると発表しました。お別れのパーティは感傷的で私には似合わないと思ったのです。もし曲目と場所が整えば可能性の扉は開けておきたいのです。ロンドンの王立音楽大学から1日だけ講師に招かれました。午前中にハイドンの交響曲第101番、午後はマーラーの1番です。もっと時間があれば良いのですが、今のところはこんな予定です。
(初来日の思い出)1962年、私はとても若くオイゲン・ヨッフムが一緒でした。コンセルトヘボウ管弦楽団にとっても初来日で最高の演奏を聴かせたかった。よく覚えているのは街中に喫茶店がたくさんあったことです。おいしいコーヒーだけでなく美しい音楽が流れていて通りに響いていました。それが日本の思い出です。
日本の聴衆は素晴らしい。他の音楽家も必ずそういいます。「ありがとう心から」これが私からの日本へのメッセージです。