“hatakeshun”のひとりごと(辻本 簾さん(NHKサウンドエンジニア)の思い出 その5)

―続「カラヤン生誕100年番組制作」

辻本 簾さんの思い出 その4で紹介した辻本さんのメール(2008、4、3発)の続きである。

「全くの素人さん向けの話を」とクギを刺された上での協力依頼ですが、他に開始部分で、私がステレオ化してDVDで発売されている「1957年11月3日のカラヤンとベルリンフィル初来日演奏」の映像も流れます。

なお、カラヤンのプロダクションによるソフトが多数HⅤ化して放送される中で、シューマンの第4交響曲は、ピッチが高い(二短調が変ホ短調に近く聴こえる。市販のDVDも同じ)まま、放送されます。この件についてディレクターがユニテルに確認したところ、「当時のフィルム撮影が毎秒25駒(通常24駒)であるのと、カラヤンのピッチ自体が高いことによるので、このままでよい」との主張を変えないので、NHKとしては独自のピッチ修正をしないまま放送することにしたようです。 もう1本「バラの騎士」は現地プロダクションに確認して正しいピッチで出すようです。 いずれにしても、私がミクサーを担当した番組ではありませんが、こんな具合で多少の縁のある番組です。

〇カラヤン財団からの連絡によれば、今年のザルツブルグ音楽祭で、カラヤン生誕100年記念に因むイベントの一環として、1959年来日(ウィーンフィル)の際の映像のDVD(NHKクラシカルとして最初に発売したもの)を再生したいのでNHK他の了解を得たい・・・のだそうです。どんな状況で再生されるか分かりませんが、何はともあれ、苦労はしましたが私がステレオ化と復元を図った映像がゆかりの地で再生されるのは感慨深いものがあります。

2008年4月5日(土)BSハイビジョン放送

まるごとカラヤン~生誕100年記念・その人と音楽大全集~

第1部 9:00~12:00

~カラヤンの目指した美の世界

*楽劇「ニュルンベルグのマイスタージンガ―」(ワーグナー)
~第一幕への前奏曲
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団<収録:1957年11月3日 旧NHKホール>

*交響曲第4番ニ短調(シューマン)
ウィーン交響楽団<放映:1965年11月>

*ドキュメンタリー番組
「ヘルベルト・フォン・カラヤン」
~その目指した美の世界~

第2部 16:00~19:00

~カラヤンとシンフォニー

*交響曲第1番ハ短調(ブラームス)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団<収録>1973年、フィルハーモニー・ザール

*交響曲第6番ロ短調「悲愴」(チャイコフスキー)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団<収録>1973年、フィルハーモニー・ザール

*交響曲第9番ニ短調「合唱付」(ベートーヴェン)
ヤノヴィツ、ルートヴィヒ、トマス、ベリー
ベルリン・ドイツ・オペラ合唱団
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団<収録>1968年

第3部 20:00~25:00

~日本人とカラヤン/歌劇「ばらの騎士」。

*ドキュメンタリー番組:「日本人とカラヤン」

*歌劇「ばらの騎士」全曲(R.シュトラウス)
シュワルツコップ、ユリナッチ、ローテンベルガー、エーデルマン、クンツウ
ウィーン国立歌劇場合唱団、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
<制作>1960年、ザルツブルグ祝祭歌劇場

1954年、カラヤン単身初来日の年に撮影されたもの、 左側は当時NHK事務局長だった有馬大五郎氏