"Hippo."のひとりごと(乗車券付きコンサートチケット)

ドイツ語圏の多くの都市では、公共交通機関が、共通運賃制度(Verkehrs- und Tarifverbund)を取っている。大抵、市全域を幾つかのゾーンに分けていて、同じゾーンの中ならEUR 2,90とか、ゾーンを1つ跨ぐならEUR 5,80といった感じで、その範囲なら、快速電車でも各駅停車でも地下鉄でも路面電車でもバスでも渡し船でも、自由に乗り継ぐことが出来る。更に、ルール工業地帯など、都市が密集しているところでは、広域で共通運賃制度をとっている。
例えて言えば、龍ヶ崎から佐貫で乗り換えて、更に北千住で乗り換えて、溜池山王に辿り着くのに、多少の乗継割引があるにしても、関鉄、JR、営団の3社の乗車券がいる。 それが、共通運賃制度なら、1枚、乗車券を買えば良い。しかも、制限時間などの条件さえ満たせば、北千住で途中下車して買物しても良い。
と、ここまでは、ドイツ語圏を旅された方なら良くご存知だと思う。実は、この乗車券が、演奏会の入場券にオマケで付いてくることがある。少なくとも、ベルリンで行われる演奏会の入場券では見たことが無いが、かなり多くの街で行われている様で、入場券を手に入れたら、是非、じっくり眺めて頂きたい。
例えば、バイエルン放響の定期演奏会の入場券だと、開演5時間前から終演3時間後まで、ミュンヘン近郊の公共交通機関(MVV)全域で、演奏会場への往復に限り無料と書いてある。事前に演奏会の入場券を持っていれば、夕方、ミュンヘン空港に着いて、乗車券を買わずに、電車でヘラクレスザールに直行して、終演後、ホテルに向かうのに、路面電車の乗車券を買う必要がない。まともに買えば、空港から市内は4ゾーン以上なのでEUR 11,60、市内1ゾーンはEUR 2,90 (EUR 14,00の10枚綴り券を買って、空港から市内まで8枚分、ヘラクレスザールからホテルまで2枚分使えば、若干廉く済む)もする。
上岡敏之がヴッパータール市の音楽総監督だった頃(2004-10年)、ヴッパタール交響楽団の定期演奏会を何度か聴いたが、ライン・ルール地方広域の公共交通機関(VRR)全域が利用出来、デュッセルドルフ空港から演奏会場までとか、日曜昼の演奏会の後、エッセンやドルトムントの夜の演奏会に向かうのに重宝した。

ヴッパタール響の本拠地ヒストリシェ・シュタットハレ

ヒストリシェ・シュタットハレの内部