kakuchanのひとりごと(mizu式電源試聴記)
mizu式電源試聴記
我々は龍ヶ崎ゲヴァントハウスにmizuさんのようなオーディオの名匠を理事として擁することは大変名誉なことだと常々思っておりますが、そのmizuさんからmizu式電源をお借りし、結構な時間使わせていただき、改めてそのことを痛感いたしました。返却がついつい延びてしまうくらい、魅力的な電源です。
私はケーブルなどアクセサリーに凝るタイプではなく、スピーカー・ケーブルやRCAケーブルにしても、20,000円を上限として導入してきました。
そういうアクセサリーとの付き合いなのですが、これまで、いくつかその恩恵を蒙った経験もあります。
1990年頃、ようやくCDプレーヤーを導入した際、そのデジタル音に幻滅を感じ、アレルギー反応のようになり、しばらくオーディオから距離を置いた時期がありました。
CDプレーヤーも高価なものであればそんな拒否反応も起こらなかったのでしょうが、菅野先生推薦のM社の戦略商品の音はひどいものでした。
そのアレルギー反応がようやく消えたのはライン・トランスの導入でした。さらにアンプを真空管式に戻して、ようやくCDの音を楽しめるようになりました。
そして、今回のmizu式電源はそれ以来の音の改善を実感いたしました。
試聴は単身赴任のつくば市のアパートに設置したシステムで行いました。
SACDプレーヤーがDENON SA-1、プリがラックス CL360、パワーがQuad 405Ⅱ、そしてスピーカーがウィーン・アコースティックS-1というラインナップです。
試聴結果を纏めると、以下のようになります。
「全体として、音の背景含め全体がクリーンになって、楽音が立体的に定位する。解像力がぐっと高まり、私が一番大事にするヴァイオリンも雑味がなく、ナチュラルで麗しい響きに変化する」。
お借りした間、試聴CDとして一番聴いたのはムターのソロ、カラヤン&BPOのバックによるブラームスのVn協奏曲だったのですが、ムターのVnが近接感が増す、Vnの解像度が上がったため高い方が澄み切った感じになると同時に美しく、嫋々とした表情が加わり、改めてこの演奏の素晴らしさを堪能しました。
さらに、ppが綺麗に出る、高い方が伸びきる、濃やかさが出ると言った印象を受けました。そして、バックも解像度が上がったためオケに立体感が出て来て、BPOの素晴らしさを再認識しました。ただ、カラヤンの第一楽章のコーダの長い引っ張り方、豪華で強烈な響かせ方はまるで「オレはカラヤンだ」と言っているみたいで嫌味ですが。
第二楽章のオーボエ・ソロが本当に美しい、惚れ惚れする音です。さすがローター・コッホだと溜飲が下がります。続くVnソロもぞくっとするような、妖艶な美しい響きです。
第三楽章も全体の解像度が上がったため、ソロとテュッティの分離感が明瞭となって、ソロとオケが一緒に団子状になる部分もはっきり分かれて響きます。凄い変化です。
真夜中の静寂の中で、その時間帯のノイズが激減するため、オーディオのレベルが一段上がったと感じる、そのような状態を常に確保できるこの電源は素晴らしいものだと痛感しました。
お返しするために、この電源を取り外した後、同じCDをかけると何ともささくれだった音に聞こえてしまい、お借りしたのがよかったのか、悪かったのか。
ともあれ、貴重な体験をさせていただきました。mizuさんに深謝の意を表したいと思います。