kashitakeのひとりごと(京都市交響楽団/沖澤のどか)
コンサートの感想記(国内オーケストラ巡り)
〜 京都市交響楽団/沖澤のどか 指揮 〜
最近仕事が少しややこしくなってきており、関西へ月に何回も往復しています。
今週‘25年6/29(日)に、翌日からの大阪での仕事を前に、日曜日午前中に先乗りし、大阪市の「ザ・シンフォニーホール」
で、沖澤のどか指揮の京都市交響楽団のコンサートを聴いてきました。
プログラムは、以下の通りでした。大阪では初の演奏会とのことです。
ウェーバー:歌劇「オイリアンテ」序曲
ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲 変ロ長調 op.56a
チャイコフスキー:交響曲 第5番 ホ短調 op.64
沖澤のどか氏の指揮のコンサートを聴くのは4回目です。京都市響2回、二期会の「カルメン」(読売日響)。
いずれも素晴らしい演奏でしたが、今回も非常に素晴らしい演奏会でした。
これまでの京都市響の2回は、フランスものと現代曲で、色彩の鮮やかさが印象的でした。今回はかなりオーソドックスな
プログラムで、聴きなれていますので彼女の演奏の特長がよくわかるのでは、と思って聴きに行きました。
とにかく暑い大阪の街を歩いて、14:00少し前に、たどりつきました。
シューマンの序曲が終わり、ブラームスの「ハイドン・・・」。各変奏の描き方がとても対比がはっきりしているように感じました。あまり勢いで押さず、丁寧な感じです。そのような演奏ですので演奏のデリケートさ、難しさも聴いていて感じられました。
結構演奏でデリケートな場面もあったと思います。京都市響の弦、木管はとても優秀できれいな音です。オケの実力の
高さが感じられました。
休憩後のチャイコフスキーは、見事な演奏でした。
まず最初のクラリネットの主題導入部のソロが見事。この方は名手、と思います。
音量のメリハリもあり、やたらと大音響ではないが、クライマックスではピシっとあわせて盛り上がる、テンポは全体的に早めですが、緩急はしっかりついていて、テンポの速さで盛り上げるというわけではない、という印象を持ちました。
この交響曲は、どちらかというと「マッチョ系」の演奏が多い(受ける)気がします。2楽章のクライマックスでの弦の歌わせ方、
4楽章の最後のマーチ風で主題が演奏されるところのテンポや、弦の歌わせ方とトランペットの「合いの手」、その後のフィナーレ、などが、私の注目どころ、なのですが、いずれも、自然でしなやか、力で押さない演奏でした。
2楽章も過剰に弦を演歌的に歌わせず力まない表現でした。4楽章もきちんと音量をコントロールしてこれも過剰な「見得」を切らない、トランペットも突出せず抑え気味、しかしその後のクライマックスで最大音量でしっかり決める、という演奏でした。
しっかり合わせるポイントを合わせているので、はとても印象が強く聴かせる演奏でした。
ホルンの扱いなども特徴的で、時たま聞いたことのないホルンの音が聞こえてきて、こんなことをやってるんだ、と思って聴いていました。席がホルンに近かった(2F ステージに向かって左のLD席)のもあるかもしれません。
やるな!と思ったのは4楽章のクライマックスでシンバルを使ったこと。かなり派手に鳴らしていまして、これもタイミングがぴったり。見事でした。このシンバルは、実演ではじめて聴きました。これは効果抜群でした。調べてみるとCDでもここでシンバルを鳴らしている演奏は殆どないようです。このような点も、なかなか凝っていて感心させられました。
聴衆は大きな拍手を送っており、オケが退場後も沖澤氏が呼び出されステージに出てきていました。関西でもかなり演奏会を聴いていますが、国内オケでは珍しいと思います。
今回も印象的だったのは、オーケストラのメンバーに好かれているのが、見ていてとてもよくわかることでした。やはりこの良い関係があってのこの名演奏、なのでしょう。
都合をあわせて、なるべくこのコンビの演奏は聴こうと思います。が、次回の定期演奏会と同プロの東京演奏会は「売り切れ」。
人気がとても高いようです。当然ではありますが。
女性指揮者の活躍が目立ちますが、おそらく将来性別に関係なく、沖澤氏は際立った存在になると思います。
多少無理して大阪に前乗りし、良かった、と思った演奏会でした。