"kazu"のひとりごと(SPレコード 雑感 1)

 SPレコード 雑感 1

78回転の回転スピードのレコードがあるのを御存じだと思う。 最近はアナログレコードのブームなのだそうだ。昔からレコードを聴いて来た音楽ファンにとっては今更の感があるかもしれない。 CDの圧倒的な音質と利便性に一端はレコードを捨てた音楽ファンが戻って来ていると言えるのかもしれない。 もちろんLPレコードが現役だった時を知らない世代がその魅力に気が付いて聴き始めていると言う話も聞いているが。
そうは言ってもアナログレコードのブームはLPレコード、45回転や33回転のレコードに限ってのことだと思う。 78回転のレコード=SPレコードが格別にブームと言う訳ではなさそうだ。 昔からSPレコードは特定のほとんど固定化したと思える様なファンが楽しんで来たレコードであり、LPレコードに比べればかなり敷居の高いレコード再生方法であると言えようか。
まず、78回転で回るプレーヤー、ターンテーブルがなかなか無い。 いや、そもそもアナログレコードプレーヤーなど一時は死滅してしまった代物だ(細々と高級機が造り続けられていたが)。 SPを聴くには蓄音器が必要であり、又は78回転で動くプレーヤーが必要なのだ。 しかも再生するにはSP用のレコード針、SP用のフォノイコライザーが必要になるなど機材に投資しないといけない。 面倒な事この上ない。 さらに、スクラッチノイズと言うぱちぱちと雑音が常に音楽の後ろで鳴っている。 聞きづらい事この上ない。
1年くらい前に78回転で回るドイツ製のプレーヤーのモーターが故障し修理の手立てを考えている内に時間が過ぎてしまった。 その間SPレコードの再生は出来なかったのでしばらくSPを聴く機会を逸していた。 先日ようやく78回転で回す事が出来るターンテーブルでプレーヤーを構築して1年ぶりでSPレコードを聴く事が出来る様になった。
久しぶりで聞いたSPレコードはトスカニーニの指揮するベートーヴェンの第5番の交響曲だった。特別に珍しい演奏である訳ではない。LPレコードやCDで復刻もされている演奏だ。 今さらわざわざSPレコードなど持ちださなくても聴ける演奏だ。
それでもSPレコードを楽しむのは一つの喜びだと思う。懐古趣味と言う事なかれ。音楽を聴く手段の一つとして悪くは無いと思う。

アルトゥーロ・トスカニーニ & NBC交響楽団 ベートーヴェン交響曲第5番ハ短調のSPレコード