"kazu"のひとりごと(SPレコード雑感 4)

昔、と言っても20世紀の最後のころに読んだSPに関する記事の中に「今日においてもSPレコードのもっとも好ましい再生方法は蓄音機の使用による。」と書かれたものがありました。20世紀の最後のころはCDはもう当たり前の時代でした。

確かに「それなり」の蓄音機を使った再生は驚くほどのリアリティーを、特に歌手による歌声やヴァイオリンの響きなどでは聞かせてくれます。ですから、「蓄音機の使用」がより良い再生には必要と言われれば納得出来ます。

昔から蓄音機は骨董屋などでそれなりに売られている姿を見かけますから、入手すること事態は難しいことではないと思います。ネットにはたくさんの売り物が載る時代です。 SPレコードがあれば、蓄音機の完動品を見つけて、詳しい人に教えて貰いSPによる再生を楽しむことはそれほどハードルの高いものではないかもしれません。

現代の装置に準じた再生設備を整えようと思うとSP専用のイコライザー、78回転を可能とするターンテーブル、SP専用のカートリッジ、カートリッジに合わせたトーンアームなど大変に手間暇のかかる準備が必要で、蓄音機を用意することに較べれば、もしかしたら逆にかなりハードルが高いかもしれません。

それでも、敢えて言いますと、その手間暇を掛けた方が良いかもしれません。「鉄」の針のついた重いサウンドボックス(カートリッジに当たる部分)で貴重なSP盤を「カジ」るのでSP盤の痛みは激しく、精神衛生上も良くありません。蓄音機による素晴らしい音楽と引き換えに貴重なSP盤は削られ白くなっていきます。 我が身を削りながら素晴らしい音楽を聴かせてくれるSPレコード盤の自己犠牲はけして美しいものではありません。

蓄音機 vs 電機再生のどちらの音が本当は良いのか門外漢の私には分かりませんが、希少なSP盤を労わるなら最新のレコード再生の技術を使ったほうが良いと思います。

いろいろなご意見もおありでしょうが、SPレコードの保存を優先と思ったらそんな考えがふとわきました。

米ビクトローラーVV-11型(機械ゼンマイ式の駆動モーター)1920年代製