"kazu"のひとりごと(SPレコード雑感 3)
ウィレム・メンゲルベルクは不運な指揮者だったと思います。 マーラーの作品の理解者でありマーラーの交響曲を積極的に取り上げた指揮者です。 マーラーを認めていたのですから本来のメンゲルベルクはユダヤ人排斥主義者ではなかったと思えます。 メンゲルベルクの発言がどの様なものであろうとも、ナチスの思想に賛同し同化するようなことは無かったと思いたいものです。 メンゲルベルクはたぶん利用されただけだと今では考える人たちも大勢います。
残念ながらメンゲルベルクの指揮したマーラーの交響曲はほとんど残されていないようですが、ベートーヴェンの交響曲は全曲が残されています。
今回取り上げるのはテレフンケンの交響曲第4番のSPレコードです。 この演奏もたぶんCDに復刻されていると思いますので、特別に珍しい音源ではないはずです。
最近はありがたいことに、大切な音源がCDに復刻されてそれほど苦労することなしに入手して聴くことが出来ます。 それだけを考えると良い時代になったものだと思います。
ただ何と言いますか、中にはSP特有のスクラッチノイズを消そうとするあまり、肝心の音楽が生きていないCDもあります。 現在の雑音一つ無い静粛性を持った音源しか聴いたことのない人達にはSPが奏でる?スクラッチノイズは聞くに堪えない雑音だとは思いますが、流れる音楽の性質まで変えてしまっては、せっかく貴重な音源をCDで復刻して貰っても残念なだけだと思います。
だからと言う訳ではありませんが、忙しくかけ換える労力が必要であっても、SPレコードを聴くのです。 そこには遥かな昔に曲を吹き込んだ演奏家の魂が生き生きと感じられ、また、聞こえて来るからです。