"nobu"のひとりごと

〈辻本 廉さんを惜しむ〉
辻本 廉さんが昨年逝去された。 そんな突然の訃報を知ったのは今年になってからだった。 NHK音楽番組サウンドエンジニアとしてご活躍されていた辻本さんは、 「龍ケ崎ゲヴァントハウス」特別企画の講師として、2009年2月、2012年11月、 2015年08月の計3回、講演をしていただいた。
1957年から始まったFMのモノ実験放送、1969から開始された FMステレオ実験放送と、NHKクラシック音楽番組収録技術の変遷を 熱く語られた辻本さん、最後の講演では、前年実際に訪れた 「バイロイト音楽祭」のお話、バイロイト音楽祭FM放送の裏話など、 興味は尽きる事がなかった。 音楽番組のミキシングを担当する傍ら、BS・FM放送のデジタル音声制作技術の開発、 音声放送技術系の音質改善研究などに従事された辻本さんは、 「ベスト・オブ・クラシック」や「N響ザ・レジェンド」など、 最後までクラシック音楽番組の音声制作に携わっていた。 私の好きな指揮者ディーン・ディクソンの話をすると、 「とてもいい指揮者でしたね。是非「N響ザ・レジェンド」に リクエストしてみてください。」との勧めでリクエスト、 約300通のリクエストの中から推薦してくださり、実際に放送が実現したのも 辻本さんのおかげだった。 「ご要望のあった、ディーン・ディクソン指揮の演奏が、ようやく、 「N響ザ・レジェンド」(リクエスト集)の中で放送されることになりました。」 とのメールを頂き、さらに「曲はストラヴィンスキーの組曲「火の鳥」 (1919年版)です。 私個人としては、曲数を増やすか、もっと大きな曲(たとえば ブルックナー#1かショスタコ#1、家庭交響曲あたり)を 選びたかったのですが、他の指揮者との時間配分等、ディレクターの意向もあって、 今回はやむを得ず・・・です。機会をみて特集的な扱いの回を進言するようにします。」という気配りには、もう感謝しかありません。
まだ73歳という若さ、次の講演に期待を寄せていただけに、残念でなりません。
心からご冥福をお祈り致します。(Nobu)2018.01.27