yasuのひとりごと(ベートーヴェンは凄い!全交響曲連続演奏会2024、東京文化会館)
~ベートーヴェンは凄い!全交響曲連続演奏会2024(東京文化会館にて)~
2024年大晦日恒例の小林研一郎指揮岩城宏之メモリアル・オーケストラによるベートーヴェン交響曲連続演奏会を初めて聴く機会を得た。自宅で全交響曲を一日で鑑賞することはよほどの理由がなければありえないが生演奏となると聴き手もそれなりの集中力が要求される。午後1時に主催者の三枝成彰氏の挨拶から始まり続いて第一番ハ長調序奏の木管の和音が会場に響く。普段は演奏会前半の曲というイメージがあるこの曲の序奏が全九曲の開始の和音としての意味をもっているかのように実に大きく感じた。演奏は最近のベーレンライダー版ではなく伝統的な従来版で演奏されていたことは自分にとっては有難かった。また全曲を通して各楽章の繰り返しは採用せず順調に前半の交響曲演奏が進んでいった。休憩は田園の後90分間の大休憩と20分前後の小休憩が4回(資料添付)。その中で第4番と第5番の間の休憩では三枝成彰氏と篠崎史紀氏(コンサートマスター)との対談があり実に興味深いものであった。三枝氏がベートーヴェンの交響曲には世界のどこの名門オーケストラでも演奏不可能の難所があると解説しそれは田園交響曲の嵐に突入するティンパニー直前のコントラバスの部分だという。何人かのコントラバス奏者が登場しそのところを披露。実演の全曲演奏ではその部分を注意深く観て聴いていると確かに各奏者の手の動きがバラバラである。ベートーヴェンは弾けないことを敢えて承知の上でこの荒れ狂う嵐の激しさを楽譜に表現したのだろうかと想像するとやはりベートーヴェンは凄い!ということになる。その後第七番と第八番が続けて演奏され45分間の休憩を挟みクライマックスの第九番「合唱付き」で全曲演奏会と2024年を締めくくった。なお演奏会の前半では少し空席が見受けられたものの第九の演奏前にはさすがに満席。指揮者の小林研一郎氏はカーテンコールでは小走りに指揮台に向かい且つ若々しい振り方はいまだに健在。曲によってスタンディングオーベーションも。また指揮台に背もたれがなかったことは現代の演奏会では珍しかった。連続演奏会は2024年が最後とコメントされていたがもう一度元気な指揮姿で聴かせてもらえそうだと感じた。そして演奏会の満足感を味わいながら長男が車で迎えに来てくれたJR錦糸町駅付近で新年を迎えることとなった。
当日はNHKのTV収録があり後日放送される予定とのことです。
★3月30日(日)午前0時~午前1時20分(29日の深夜) NHKBS4Kにて放送