yasuのひとりごと(名盤回顧録:イッセルシュテットとロンドン響のジュピター交響曲、1958)
名盤回顧録
~イッセルシュテットとロンドン響のジュピター交響曲(1958年録音)~
年を重ねてくると少年時代に初めて聴いた時の名曲のレコードを無性に聴きたくなることがある。 表題のレコードもその一枚である。 大好きなベートーヴェンの交響曲を一通り聴いたあとyasu少年はモーツアルトの交響曲に興味を持ち始め親からの小遣いを貯めてジュピター交響曲(K.551)を購入した。 演奏はハンス・シュミット=イッセルシュテットがロンドン交響楽団を指揮した17センチ盤(SFON-2547)で確かフォンタナレーベル(原盤はマーキュリー)だった。 30センチLP盤は当時一枚二千円が普通の時代で少年にはとても手が届かず数か月にせいぜい五百円の17センチ盤を一枚購入するのが精いっぱいだった。 またこの種のレコードはどちらかというと地味な演奏家の商品が多かったように思う。 それでもこの時初めて聴いたモーツアルトの交響曲の魅力はその後25番以降の全交響曲まで拡がっていった。 さてこのレコードは長らく廃盤扱いとなっていたが数年前タワーレコードのビンテージ企画品の中で突然発売され懐かしさのあまり購入して聴いてみた。 実に名演である。 音質面でも高域に少しクセがあるものの歴としたステレオ録音である。 演奏面ではまずテンポが良く端正な表現が全曲を貫く(現在流行の前衛的な表現とは真逆)。 即興的でおそらく一発取り(第一楽章再現部の第一ヴァイオリンの引掛けミスも当時のままで懐かしい)だったのではないかと思われます。 日本では1960年代はワルターやベームのモーツアルトの人気が高かったがその陰に隠れていたこの名指揮者の素晴らしいモーツアルトを久しぶりに堪能させてもらった次第であります。 なおこの指揮者は後にウィーン・フィルとあの素晴らしいベートーヴェン交響曲全集(英デッカ)を完成させることになります。 感謝、感謝。(yasu)