G. ロジェストヴェンスキー&ソヴィエト国立文化省管弦楽団の”ブルックナー交響曲第5番”
ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー&ソヴィエト国立文化省交響楽団によるブルックナ―の交響曲を全て異なる稿で録音するという異色な全集プロジェクト(1983年スタート)は結局のところ一部を残して未完に終了したがブルックナー愛好家を中心に当時大変注目を浴びた。 この件については以前「漫遊記179」で少しふれたとは思うが今回は筆者がとりわけ興味をひいた「第5番」を紹介したい。 筆者がロジェストヴェンスキーのブルックナー交響曲のLPを最初に求めたのは「ソヴィエト連邦体制」解体後の1991年9月にモスクワを訪れた時だった (写真1 G.ロジェストヴェンスキー&ソヴィエト国立文化省響「ブルックナー交響曲第5番」LPジャケット、露メロディアC10 22055007、2LP)。 この録音は1984年のセッション録音で国内盤はBMGファンハウスから「第4番”ロマンティック”、1878/80年ノヴァーク版第2稿、1988年セッション録音)と共に2CDセットで1999年に世界初CD化されている (写真2 CDジャケット、BVCX-38009-10 、BMGファンハウス)。 この演奏では「ハース」原典版を基本にした録音だがフィナーレ第4楽章のコーダ部分に「シャルク版」風の彼独自の解釈がみられるところが興味深い。 ただクナッパーツブッシュ盤のように派手にシンバルなど打楽器群を打ち鳴らしてはいない。 筆者は時々クナッパ―ツブッッシュ&ウィーン・フィルによる1956年英デッカ録音ステレオ盤LPと聴き比べながら楽しんでいる (写真3 H. クナッパーツブッシュ&ウィーン・フィル、ブルックナー交響曲第5番ほか国内盤LPジャケット、ロンドンK15C-9023~04、 1980年リリース)。