「朝比奈 隆」1970年代東京公演の想い出から
〜 & NHK交響楽団、1972年2月23日、日比谷公会堂にて〜
〜& 大阪フィル、1972年7月18日、東京文化会館にて〜
〜 & 大阪フィル、1976年7月29日、東京文化会館にて〜
日本のブルックナー解釈のスペシャリストと云われた「朝比奈 隆」1970年代東京公演の想い出から3つのコンサートを振り返ってみたい。
筆者が最初に彼が振る生のコンサートに接したのはまだ学生時代の1972年のことである。彼はこの年「第3回都民のためのコンサート-NHK交響楽団」に客演、「ベートーヴェン・プログラム」を振った。会場は「日比谷公会堂」、2月23日のことである(写真1 「第3回都民のためのコンサート」プログラム表紙/写真2 2/23「N響」ベートーヴェン・プロ 演奏曲目/写真3 2/23公演チケット)。この時、筆者は彼が振るベートーヴェンの重厚な響きに感動した。たとえば「第5番」の終楽章前半のリピートを実行する指揮者は当時まだ数少なかったが氏は譜面どおり反復を実行するなど堂々とした演奏が今でも印象に残る。
「大阪フィル」の常任指揮者を務める氏は同年7月18日には「東京文化会館」で同楽団との「第11回東京定期演奏会」を行った(写真4 「大阪フィル第11回東京定期公演プログラム表紙」/写真5 見開きページ)。筆者はこの時初めて氏が振る「ブルックナー交響曲第9番(ハース版)」の生演奏を聴いた。少々武骨さも感じたが素朴で自然体の演奏に好感がもてた(写真6 大阪フィル第11回東京定期演奏曲目)。
それから4年後、1976年7月29日「第15回東京定期公演」にも足を運ぶ。筆者はメインのブルックナー「交響曲第4番」に注目した。期待通り氏の入魂のブルックナーが展開された(写真7 大阪フィル第15回東京定期公演プログラム表紙/写真8 演奏曲目)。氏はこの当時コンサート・ライヴ録音を基本に「ジャンジャン(ライヴハウス/渋谷)」制作による初の「ブルックナー交響曲全集録音」を進行中でもあった。因みにこの東京での「第4番」もこの全集録音に採用されている(写真9 <朝比奈 隆>ブルックナーLPレコード発売予告チラシ)レコードは事前予約申し込みで「第8番」からリリースされ「後期交響曲集」、最後に「交響曲全集」としてリリースされている。全集録音にうち「第7番」と「第9番」が神戸文化ホールに於けるセッション録音であった。筆者も事前予約で何とかこれらのLPを入手した。
尚、特典盤として「後期交響曲集」には「第9番」のリハーサル風景、「全集盤」には1975年大阪フィル欧州演奏ツアーの際の聖フロリアン修道院マルモアザールに於ける「第7番」ライヴ盤が添付されている。写真10は「第8番」2枚組LP、写真11は「後期交響曲集BOX」、写真12は「交響曲全集BOX」、写真13 は 1972年7/18 大阪フィル第11回と1976年7/29 第15回東京定期公演チケットである。