アルバン・ベルク弦楽四重奏団の「ブラームス弦楽四重奏曲全集」、1991・92年再録音
アルバン・ベルク弦楽四重奏団はかつて「ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団」のコンサート・マスターも務めていたギュンター・ピヒラー(Günter Pichler)の音頭でウィーン国立音楽大学の当時の若い教授たちで1970年に結成された。 筆者が初めて彼らの生演奏に接したのは1979年11月の初来日公演であった。 当時のメンバーは第1ヴァイオリン/ギュンター・ピヒラー、第2バイオリン/ゲルハルト・シュルツ(Gerhard Schulz)、ヴィオラ/ハット・バイエレ(Hatto Beyerle)、チェロ/ヴァレンティン・エルベン(Valentin Erben)であった (写真1 アルバン・ベルク弦楽四重奏団、1979年初来日公演プログラム表紙)。
今回紹介するブラームス「弦楽四重奏曲全集」は1993年度の室内楽部門「日本レコード・アカデミー賞」にも輝いた定評ある名盤である (写真2 ブラームス弦楽四重奏曲全集、ジャケット/アルバン・ベルク弦楽四重奏団、独EMI CLASSICS、CDS754829-2(2CD) 。 彼らはこの録音以前(1977年)「独テルデック」より全集盤をリリースしているので2度目の全集録音となる。 ちなみにこの録音は「第1番」と「第3番」がそれぞれ1991年12月、1992年4月、スイスの「エヴァンゲリッシュ(福音)教会(Evangelische Kirche)」におけるセッション録音、「第2番」は1991年11月3日ロシア、サンクトペテルブルグの「ユスポフ宮殿(Le Palais Yusupov)」におけるコンサート・ライブ録音なので演奏前後の聴衆の拍手も収録されている (写真3 CD演奏録音データ)。 またこのCD録音ではヴィオラがトーマス・カクシュカ(Thomas Kakuska)に代わっている (写真4 CD演奏メンバ写真、CDブックレット掲載写真)。ブラームス全3曲の弦楽四重奏曲は前回紹介した「六重奏曲」に比べ渋く地味な作品だがこの演奏を聴きこむと彼らの精緻なアンサンブルに引き込まれていく。 尚、世界的な名声を得たこの四重奏団も2008年に解散している。