エフゲニー・ネステレンコ バス独唱会 - つくば科学万博 '85 -
エフゲニー・ネステレンコ バス独唱会 - つくば科学万博`85 -
今回も「つくば科学万博」のクラシック音楽コンサート催事から注目された「エフゲニー・ネステレンコ(Evgeny Nesterennko)バス独唱会」を振り返ってみたい。ネステレンコは当時47歳、まさにバス歌手として最高潮を迎え世界の歌劇場を駆け回っていた時期でもあった。その彼がこの「万博会場」でコンサートを開催したい旨の依頼を受けたのは博覧会開催直前3月初旬の頃だったと思う。戦後最高のバス歌手と云われたブルガリア出身のニコライ・ギャウロフ(Nikolai Ghiaurov/1929-2004)と並ぶ彼が博覧会イベントに参加してもらえることは願ってもないことだった。打ち合わせはスムーズに進み開催日は彼の来日公演の合間を縫って6月27日と決まり開演時刻も万博入場者数も安定する時間帯午後2時に設定した(写真1 「ネステレンコ独唱会」催事情報(協会催事部))。公演プログラムは先に開催された「東京・新宿文化センター」での公演とほぼ同一内容で調整された(写真2 当日会場配布プログラム)。万博会場内の「EXPOホール」は約500名ほどが収容できる小ホールである。当日は平日(木曜日)午後の公演にもかかわらずほぼ客席は埋め尽くされた。ピアノは彼の伴奏パートナー、エフゲニー・シェンデローヴィチが務めた。ネステレンコ得意のロシア歌曲・民謡で固められたプログラムは表情・声量とも豊かに歌われ会場の聴衆も自然に彼の世界に酔いしれていく。特にプログラムの終盤を飾った我々にも聴きなれたロシア民謡「ボルガの舟歌」、「ステンカ・ラージン」では彼のパワフルな底力に圧倒された。また息のあったシェンデローヴィチのピアノ伴奏も素晴らしかったこが印象に残った。余談になるが「新宿文化センター」の公演は後に「NHKFM」でオン・エアされている。
写真3はネステレンコとシェンデローヴィチ(1985.6/27コンサート当日リハーサルから)
写真4は熱唱するネステレンコ(1985.6/27コンサート当日リハーサルから)
写真5は二人のサイン色紙
(写真3〜4は協会催事部で撮影されたもの)