エーリッヒ・ベルゲル&読売日響を聴く、1975
〜1975年7月11日、東京文化会館にて〜
〜読売日本交響楽団第113回定期公演〜
「知る人ぞ知る」、ルーマニア出身(後に当時の西ドイツに帰化)の名指揮者エーリッヒ・ベルゲル(Erich Bergel/1930~1998)が初来日、「読売日本交響楽団」の指揮台に立った。もう40数年前の懐かしい話である。彼はこの時「読響名曲シリーズ第112回(6/27)/第113回(7/18)」(東京厚生年金会館)と筆者が足を運んだ「第113回定期公演(7/11)」(東京文化会館)の3公演を振っている。定期公演では当時「ワツと驚く」の「キャッチ・フレーズ」を思い起すアメリカの人気ピアニスト「アンドレ・ワッツ」がソリストとして登場、ベートーヴエンの「皇帝」を弾き大喝采を博した。プログラム後半では筆者も期待した「ブルックナー交響曲第7番」が演奏されこちらも聴きごたえがあった(写真1 読響第113回定期公演プログラム表紙/写真2 ベルゲル、ワッツ紹介ページ/写真3 定期公演曲目)。指揮者のベルゲルはカラヤンに注目され1971年に「ベルリン・フィル」を振り大好評を得てその後もたびたび招かれている。彼の演奏スタイルは、飾り気はないが何か凄みを感じさせる指揮者だった。ブルックナーも中庸なテンポで進め地味ながら好感が持てた。使用楽譜は「ノヴァーク版」だったのでコンサート終了後「国際ブルックナー協会編<ノヴァーク版>」のスタディースコアにサインを入れてもらったところ「ノヴァーク版が一番」と話していたことが今でも印象に残っている(写真4 国際ブルックナー協会(ウィーン)<ノヴァーク版>第7番スタディー・スコア表紙/写真5 ベルゲルのサイン(日付入り))。ぜひまた機会あれば彼の指揮で聴いてみたと思っていたが1998年68歳の若さで亡くなりショックを受けた。彼のレコーデイングは極端に少なく、1994年にルーマニアの「トランシルバニア・フィル」を振った「ブラームス交響曲全集」があるとのことでぜひ聴いてみたいと思っているがマイナー・レーベルでなかなか入手困難のようである。