オープンリール・テープ・ソフトの終焉

「オープンリール・テープ・ソフト」の終焉、つまり市場から姿を消した時期はいつだったのか(?)筆者の記憶は曖昧である。 記憶をたどると1960年代末には大規模レコード店にかなり並び始め「テープ・ソフト」のみを取り扱う専門店も見かけた記憶がある。 1970年代に入ると絶頂期を迎え’72年頃をピークに徐々に店頭から姿を消していったのではないか思われる。 現在、筆者の手元に二つの当時の「オープンテープ・ソフト」の広告が残っている(写真1  ビクター絶賛ベスト10 ! 4トラック・ステレオテープ広告(1967年ごろ)/写真2  キング・ベストセラー4トラック・ステレオテープ広告、-1972年)。 いずれも当時のLPレコード売れ筋トップランクがラインナップされているのが察知できる。 今回紹介するラフマニノフを大変得意とするウラディミール・アシュケナージ、アンドレ・プレヴィン指揮ロンドン交響楽団によるラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番ハ短調作品18」・「パガニーニの主題による狂詩曲作品43」(1970年録音)はとりわけ名演の誉れが高い演奏である。 アシュケナージはラフマニノフのピアノ協奏曲全集録音をこの1970年-71年とさらにデジタル録音で1984年-86年にベルナルト・ハイティンク&アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団と再録音もしているほどである。 このプレヴィンとの演奏は先の全集録音からまさにオープン・ソフト絶頂期の1972年にリリースされた。 録音が行われた残響が美しいとされる「キングス・ウェイホール」は1983年ごろまで数々のクラシック音楽の録音会場として使用されてきたが現在はホテルに改装されている(写真3  アシュケナージ&プレヴィン/ ラフマニノフ”ピアノ協奏曲第2番”ほか、オープン・ソフト、TLA 1118 キング/ 写真4 同、テープ・レーベル面)。

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番/パガニーニの主題による狂詩曲(アシュケナージ/ロンドン響/プレヴィン):(https://ml.naxos.jp/album/00028941770226)

写真1    ビクター・オープンテープ ベスト10広告(1967年ごろ)

写真2    オープンリール・テープ・ベストセラー(1972年キング・レコード )

 

写真3    アシュケナージ&プレヴィン ロンドン響 / ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番ほか(日キング TLA 1118 1972年発売)

写真4    写真3のテープレーベル面」