カラヤン ・イン・ ブカレスト、1944年・1964年
カラヤンの生涯におけるコンサート記録によれば彼はルーマニアの首都ブカレストを2度訪れている。1度目が36歳の若きカラヤン、1944年1月当時は「ブカレスト・フィルハーモニー管弦楽団」(現在は「ジョルジェ・エネスク・フィルハーモニー管弦楽団」に改称)に客演した。 手元の資料にこの時のカラヤンのサイン入り演奏プログラムのコピーがある(写真1)。 この資料によるとコンサートは1944年1月23日11時開演のマチネで開催されている。 演奏曲目はウェーバー歌劇「オイリアンテ」序曲、シューマン「交響曲第4番」休憩後にレスピーギ交響詩「ローマの松」が取り上げれている(写真1 1944年1月23日、カラヤン&ブカレト・フィル演奏会プログラムのコピー)。 演奏会場はこの資料からは不明だがおそらくこの楽団の本拠地「アテネウル・ロマン(Ateneul Român)」ではないかと思われる。
続く2度目の訪問は「ウィーン・フィル」を率いての1964年9月の「ジョルジェ・エネスク国際音楽祭」オープニング・コンサート出演である。 こちらはブカレストの「サラ・パラトゥルイ(Sala Palatului)」英語表記では「パレス・オーディトリアム(Palace Auditorium)」、なんでも4000人余りを収容できるドーム型の大ホールらしい。 この音楽祭開幕コンサートは9月15日と16日両日に渡りカラヤンの指揮でそれぞれ異なるプログラムが演奏されたそうだが2015年におよそ半世紀ぶりに世界初CD化された。 この盤には初日の「モーツアルト交響曲第40番」と「ブラームス交響曲第1番」が収めれている。 モノラルによるライブ録音だが音質は大変良好で当時56歳の壮年期カラヤンの力がこもった名演が楽しめる。 因みにこのライブ音源の初出はLPレコードで国営レコード会社「エレクト・レコード」(漫遊記334・450参照)から「音楽祭記念盤」としてルーマニア国内のみでの発売だったそうである(写真2 カラヤン&ウィーン・フィル1964年「ジョルジェ・エネスク国際音楽祭ライブ盤CDジャケット、ERT1027-2(ERECT RECORD/東武ランドシステム)」/ 写真2 CD収録演奏データ)。