”コンサート・ホール・ソサエティ盤”の魅力的ジャケットから(2)
〜パウル・クレツキのベートーヴェン交響曲〜
ポーランド出身の名指揮者パウル・クレツキ(Paul Kletzki/1900-1973)は地味な指揮者だったがベートーヴェンも得意とし「チェコ・フィル」との交響曲全集録音(1964-68録音)は彼の代表盤の一つに数えられている。 初来日は1963年の「日本フィル」客演だったと思うが筆者は1968年6月、エルネスト・アンセルメと共に「スイス・ロマンド管弦楽団」と来日した際のベートーヴェン「交響曲第5番」の演奏が今も印象に残る(漫遊記53参照)。 また彼はこれに先立つ1960年前後にこの「コンサート・ホール・ソサエティ」にヨーロッパ有数の温泉地で知られる南ドイツ、バーデン=バーデン(Baden-Baden)の「南西ドイツ放送交響楽団」(現在:バーデン=バーデン&フライブルクSWR交響楽団)と「第1番・第3番”英雄”・第5番」並びに「フランス国立放送局管弦楽団(現在:フランス国立管弦楽団)」とは「第6番”田園”」をステレオ録音で残している。 録音はやはり時代を感じさせる懐かしい音質だがいずれもしっとりとした端正なベートーヴェンを聴かせている。 またこれらのジャケット・デザインもそれぞれに趣きがありレコード・レーベル面もとりわけ「田園」には「Concert Hall Society」の姉妹レーベル、当時ヨーロッパで使用された「Musical Masterpiece Society(MMS)」のラベルが使用されている。
(つづく)
写真1 ベートーヴェン「交響曲第1番・第5番」ジャケット クレツキ&南西ドイツ放送響 Concert Hall SMS-2313)
写真2 LPレーベル面(第5番)
写真3 ベートーヴェン「交響曲第3番”英雄”」ジャケット クレツキ&南西ドイツ放送響 Concert Hall SM-2275)
写真4 LPレーベル面
写真5 ベートヴェン「交響曲第6番”田園”」ジャケット クレツキ&フランス国立放送局管 Concert Hall SM-2239)
写真6 LPレーベル面 Musical Masterpiece Society(MMS)のラベルが使用されている。