ジャン=クロード・カサドシュ&フランス国立リール管弦楽団を聴く、1982
~ 1982年12月3日東京文化会館 初来日公演 ~
ベルギーとの国境にほど近いフランス北部の歴史的文化都市「リール*(Lille)」(写真1 街の中心大広場―グランプラス(Grand Place))に本拠を置く「フランス国立リール管弦楽団(L’Orchestre National de Lille)」が音楽監督ジャン=クロード・カサドシュ(Jean=Claude Casadesus)と共に初来日公演を行ったのは「香港」での公演を終え1982年12月のことだった。(写真2 1982年初来日公演プログラム表紙・写真3-公演日程)。公演プログラムは「Aプロ」・「Bプロ」の二つが用意され筆者は東京での公演初日12月3日東京文化会館Aプロに足を運んだ。この日はソリストとして日本の岩崎セツ子が共演、彼女はフランス音楽への造詣も深くラヴェルの「左手のためのピアノ協奏曲」で拍手喝采を浴びた(写真4 筆者が聴いたプログラムA演奏曲目)。指揮者のカサドシュは1935年パリ生まれの当時47歳、指揮をピエール・デルヴォーやピエール・ブーレーズに学んだ。ちなみに名ピアニスト、ロベール・カサドシュは彼の伯父にあたる。フランスでは1970年代に地方文化振興政策によって地方各地でオーケストラが改組、創設されたがこの楽団も1976年にカサドシュを音楽監督に迎え再編成され1981年に「国立」の称号を得たようである。この初来日公演ではいわゆるフランスものを中心としたプログラム構成で行われ私が接したAプロでもラヴェル「ダフニスとクロエ」第2組曲や「逝ける王女のためのパヴァーヌ」ではカサドシュの繊細な感性が充分にうかがえる演奏だったと記憶している。この初来日公演から35年ぶりにカサドシュは「新日本フィル」客演のため再来日、彼も82歳になっていたが指揮ぶりは全く衰えてなかった。プログラムはすべてフランスもので特にトルコ、イスタンブール出身の双子ピアノ・デュオ、ギュヘル&ジュヘル・ペキネルを迎えてのプーランク「2台のためのピアノ協奏曲」は圧巻だった(写真5 新日本フィル2017年5月19日演奏曲目/写真6 新日本フィルプログラム・カサドシュ・ペキネル姉妹のサイン)。またこの時、1982年の初来日公演プログラムにもサインを入れてもらい彼も当時を思い出しながら大変懐かしがっていた(写真7 1982年来日公演プログラムに入れてもらったサイン/写真8 1982年初来日公演チケット)。
写真9は1980年7月録音にカサドシュ&リール管でレコーディングされたベルリオーズ「幻想交響曲」、1992年CD化された(仏harmonia mundi)。
*地名「Lille」のカタカナ表記は「リール」・「リル」の二通りあるがここでは一般的な「リール」で表記した。