チェコ国立ブルノ・フィル初来日公演を聴く、1982

〜1982年4月18日、NHKホールにて

この当時は「チェコスロヴァキア」の時代、筆者は代表格の「チェコ・フィル」とブラティスラヴァを本拠に置く「スロヴァキア・フィル」を除けばこの国のオーケストラにはまだまだ馴染みが薄かった。
そんな折、モラヴィア地方の文化・経済の中心都市ブルノから「チェコ国立ブルノ・フィルハーモニー管弦楽団」が初来日公演を行った。1982年4月のことである(写真1  チェコ国立ブルノ・フィル初来日公演プログラム表紙)。 同行指揮者は当時の首席指揮者「フランティシェック・イーレック」(写真2  初来日公演プログラムから)と若手常任指揮者のペトゥル・ブロンスキーであった。またソリストにブルノ出身の若手ピアニスト、イージー・スコヴァイサが同行し「Bプロ」でラヴェルの「ピアノ協奏曲」を演奏している。筆者は来日公演初日(4月18日)NHKホール、「Aプロ」を聴いた(写真3  「公演日程とA・Bプログラム演奏曲目」。指揮は首席指揮者イーレック、筆者はモラヴィア出身のヤナーチェクの作品「狂詩曲<タラス・ブーリバ>」に注目した。この作品はロシアの文豪ゴーゴリの歴史小説を題材にしている。コサックの隊長ブーリバの悲劇的物語から3つのシーンを音楽で描いたもので3管編成にオルガンも加わる。「ブルノ・フィル」の色彩感あふれる響きが会場いっぱいに広がったのがとても印象的であった。
尚、この初来日公演プログラムでは「チェコ国立ブルノ・フィルハーモニー交響楽団」と表記されているが日本語表記的には英文表記が「Philharmonic Orchestra」となっているので「フィルハーモニー管弦楽団」の方が自然と思われる。また公演チケットの座席が手書き記載でシール貼りされているのも時代を感じさせる(写真4  4月18日公演チケット)。

写真 1   チェコ国立ブルノ フィル初来日公演プログラム表紙(1982)

写真2   首席指揮者フランティシェック イーレック(公演プログラムから)

写真 3   チェコ国立ブルノ フィル来日公演日程と演奏プログラム(1982)

写真 4   筆者が聴いた1982年4月18日公演チケット