トルコ観光の白眉、古代遺跡と自然遺産(6)、2012年1月
〜"CDショップにて"(番外編)〜
トルコゆかりのポピュラー・ソングですぐ思い浮かぶのがその昔、筆者が小学生のころラジオから流れていた江利チエミが歌う「ウスクダラ」、坂本九の「悲しき60才(ムスターファ)」である。 当時どちらもよく口ずさんでいたが前者の「ウスクダラ」のトルコ語の歌詞「ウスクダラギデーリーケン オードビリヤンムール・・・」を意味も分からずお経みたいに歌っていたことを思い出す。 この「ウスクダラ」という曲は後に調べたところ「イスタンブール」のアジア側の街に「ユスキュダル」」という所がありそこを旅する女性とその秘書との物語を歌ったトルコ民謡が原曲だそうである。 なんでもアメリカの女性歌手アーサー・キット(Eartha Kitt)が1953年に最初にレコードに吹き込んだとのこと。 その1年後に「江利チエミ」がトルコ語と日本語の歌詞でレコーディング、EPシングル盤とSP盤でも発売された(写真1 1954年江利チエミ「ウスクダラ」初出盤ジャケット、キングCL-160)。 尚、同時期に「雪村いづみ」も「帰らざる河」のB面に「ウシュカダラ」としてレコーディングしている。 当時、江利チエミがトルコ語で歌うレコードをトルコ人に聴いてもらったところトルコ人が歌っていると勘違いしたほど彼女のトルコ語の発音が上手だったというエピソ-ドもある。
一方、坂本九の「東芝レコード」デビュー第一弾としてリリースされたのが「悲しき60才(ムスターファ)」である(写真2 坂本九「悲しき60才」シングル・ジャケット、1960年8月発売)。 筆者はこの作品も当時トルコ発祥の曲と思っていたがこちらはエジプト系のポピュラー・ソングだそうだ。 その起源等々については諸説があるようだ。 坂本九の「悲しき60才」は当時エジプトのシンガー・ソング・ライター「アザム・バークレイ」のものをカヴァー、作詞は都知事も務めた放送作家・タレントの「青島幸男」である。 さらに古いものではやはりトルコのシンガー・ソング・ライター「ダリオ・モレノ」のカヴァーがトルコではよく知られているようである。
そんなわけで、古都コンヤから首都アンカラに向かう途中立ち寄ったアクサライのカフェ・レストランにあるCDショップでこの二つの曲のCDを尋ねたところ写真の2枚をすぐ出してくれた(写真3 ウスクダラ他が収録されたCDアルバムジャケット/写真4 同アルバム収録曲目/写真5 ムスターファ他が収録されたCDアルバムジャケット/写真6 同アルバム収録曲目)。 どちらもアラビア調の異国情緒が楽しめるアルバムだった。 余談だがCDを入れてくれた袋も布製のしっかりとしたアクサライの「隊商宿(キャラバンサライ)」をデザインしたエキゾチックで洒落たものだった(写真7)。 尚、「隊商宿」とはその昔、隊商の商人たちが商取引をする場所と宿を兼ね備えた施設である。 アクサライの街はシルクロードの重要な中継地としてこのような「隊商宿」が設けられた(写真8 隊商宿、筆者撮影)。
(つづく)