ドビュッシー「小組曲」の魅力

フランス印象主義音楽の開拓第一人者クロード・ドビュッシー(Claude Debussy/1862~1918)の小組曲(Petite suite)の魅力をさぐってみたい。 この作品はドビュッシー27歳の1889年4手ピアノ連弾のために書きあげたものである。 ちょっと余談になるが丁度この年、パリ万国博覧会 (パリでの開催は通算4回目にあたる)が開催され会場を訪れたドビュッシーがガムラン音楽を耳にし後に発表するピアノ組曲「版画」の第1曲「塔(Pagodes)」に反映されたというエピソードもある (写真1 1889年パリ万博開幕鉄道往復割引キップ広告、ポスト・カード) 。 話を本題に戻しこの「小組曲」が一般的に人気を得たのは後にドビュッシーの友人でもある作曲家アンリ・ビュッセル(Henri Büsser/1872~1973)が管弦楽版に編曲してからであろう。 ちなみに筆者が初めてこの管弦楽版による演奏を生で耳にしたのは「漫遊記73」で紹介した懐かしい公開録音放送コンサート「東急ゴールデン・コンサート」における手塚幸紀指揮「日本フィル」の演奏(1970年7月)だったと思う (写真2 当時のプログラム表紙/写真3 演奏プログラム)。 作品は「小舟にて」「行列」「メヌエット」「バレエ」の4つのタイトルが付された小品から構成されどれもとても聴きやすく色彩感もある美しい旋律に魅了される。 そこにはビュッセルの洗練された編曲の巧さも光ることは間違いない。 ビュッセル自身が指揮した録音も存在するがここではステレオ最初初期の名盤「ポール・パレー&デトロイト響盤」(写真4)と極め付きの名盤「ジャン・マルティノン&フランス国立管盤(1973,74録音)」(写真5)を紹介したい。

写真1    1889年パリ万博開幕-「往復鉄道割引キップ広告」をデザインしたポスト・カード

写真2    懐かしの「東急ゴールデン・コンサート」 1970年7月公開録音プログラム表紙

写真3    同、当夜の演奏プログラム

写真4    ポール・パレー&デトロイト響-ドビュッシー管弦楽曲集LPジャケット(日本フォノグラム 13PC-75 1979年リリース)

写真5    ジャン・マルティノン&フランス国立管-ドビュッシー管弦楽曲集LPジャケット(東芝EMI-EAC-80190 1976年リリース)