ペーター・マーク&都響を聴く、1981
〜1981年3月18日第134回定期公演、東京文化会館にて〜
ボーデン湖にほど近いスイス、ザンクト・ガレン(Sankt Gallen)出身の名指揮者ペーター・マーク(Peter Maag/1919-2001)は1962年に「日本フィル」に客演以来たびたび来日し「読売日響」や「都響」にも客演し馴染み深い指揮者のひとりだった。 彼はモーツアルトとメンデルスゾーンのスペシャリスト、客演の際もこの二人の作品は必ずプログラムに取り上げていた。 特に1980年代から1990年代には「都響」にしばしば客演し多くのクラシック音楽ファンの心を引き付けた。 また彼は「禅」にも関心を持ち1960年代には「香港」で禅僧として修業した経験も持つ異色の指揮者だった。
今回は筆者が特に印象に残る「都響第134回定期公演(1981年3月・東京文化会館)」を紹介したいと思う。 公演は18日・19日の2夜に渡り行われたが筆者は第1夜(18日)を聴いた。 プログラムはやはり彼が得意とするモーツアルトとメンデルスゾーンである。 ソリストにはヴァイオリンの塩川悠子ほかが客演した(写真1 「都響第134回定期公演プログラム・演奏曲目」)。 キリッと引き締まりやや速めのテンポで始まった「交響曲第29番」は爽やかさも感じとても優美な演奏が印象的だった。 またプログラムのメインを飾ったメンデルスゾーンの「真夏の夜の夢の音楽」は彼の代名詞と云っても過言ではないだろう。 後に「都響」とセッション録音(デンオン)があるがこの定期公演での演奏も彼の持ち味を生かした繊細な美しさを味わうことができた(写真2 都響第134回定期公演チケット)。 写真3・4・5は筆者の愛聴盤である。