私の落語・演芸レコード・コレクションから(1)

今回から「私の落語・演芸レコード・コレクションから」と題して数回に渡り綴ってみたいと思う。
クラシック音楽レコードには演奏家別の「ディスコグラフィー」がコレクターにとって大変参考になる。 一方、落語・演芸レコード関係については八代目「都家歌六(みやこや うたろく)師」(1930-2018)が長い年月をかけまとめあげた大作「落語レコード八十年史(上巻・下巻)」(1987年出版・国書刊行会-写真1)が明治から昭和にかけて録音された音源が年代別・演者別に詳細に紹介されている。 まさに演芸レコード・コレクターのバイブルである。 この書によれば残念ながら「大圓朝」=「初代・三遊亭圓朝」の音源は存在しないが日本最初の落語レコードは明治36年(1903年)の「英国グラモフォン」録音技師による出張録音とされている。 いわゆるラッパ吹き込みの時代、ちなみに当時録音された原盤はドイツのハノファーの「ドイツ・グラモフォン」のプレス工場に持ち帰り改めて商品化され日本へ逆輸入されたそうである。
マクラが長くなったが今回は私が最初に求めた落語レコードの1枚を取り上げてみたい。 それは(写真2)の八代目「桂 文楽 (1892-1971)」師の十八番、「船徳(ふなとく)」・「鰻の幇間(うなぎのたいこ)」がカップリングされたスタジオ録音のLPである(写真3  同盤・レーベル面)。 先の「歌六」師の「書」並びにレコード解説にも録音年月の記載がないがこのLPの発売は1966年だった。 住まっていた旧町名から「黒門町の師匠」とよばれこのレコードからもうかがえるがその芸風は粋で数多くのファンを魅了した。
(つづく)

写真 1     「落語レコード80年史 (上)(下)」都家歌六 著(1987)

写真2     落語「船徳」「鰻の幇間」八代目 桂 文楽(ビクター JV199 スタジオ・モノラル録音)

写真 3    写真 2のレーベル面