秋山和慶&バンクーバー交響楽団来日公演を聴く、1985

~ 1985年6月16日つくばノバホールにて ~

カナダ西海岸、ブリティッシュコロンビア州の最大都市「バンクーバー」を拠点に活動する「バンクーバー交響楽団」が1974年初来日から11年ぶりに再来日公演を行った(写真1 来日公演プログラム表紙)。指揮は1972年より音楽監督を務めていた日本の秋山和慶である(写真2 公演プログラムから)。この来日公演は翌年(1986年)に開催された「バンクーバー国際交通博覧会」宣伝も兼ねた記念公演でもあった。私が聴いた1985年の来日初日6月16日、「つくばノバホール」における演奏会は「つくば科学万博'85」も協賛していた(写真3 公演チケット)。この楽団は1919年に一地方オーケストラとして誕生したがこの秋山和慶の音楽監督時代に飛躍的な発展を遂げ北米の人気オーケストラの一つになったと云われている。公演初日のプログラムの前半は当時新進気鋭のピアニスト、ジョン・木村・パーカー(写真4)を迎えブラームス「ピアノ協奏曲第1番」、後半はマーラー「交響曲第4番ト長調」第4楽章のソプラノ独唱にはデリア・ウォリス(写真5)が客演と聴きごたえあるプログラム構成である(写真6 筆者が聴いたプログラムA)。ブラームスの情熱的でシンフォニックなこの協奏曲、パーカーのスケール感のある粋でスタイリッシュな演奏が印象的だった。後半のマーラーではこの作品が持つ抒情性と旋律的美しさを充分に味わった。ウォリスの透明感ある美声も心に残った。マエストロ秋山はこの1985年シーズンで音楽監督を退任したが現在は楽団から「桂冠名誉指揮者」の称号を得ているようだ。筆者は2012年10月にバンクーバーを訪れた際、ダウンタウンにあるオーケストラの本拠地「オルフェルム劇場」(写真7 筆者撮影)に立ち寄ってみた。2012/13コンサート・シーズンを迎えた劇場は活気に満ちた様子が窺えた。

写真1 「バンクバー響来日公演1985プログラム表紙」

写真2 バンクバー響 音楽監督 秋山和慶(来日公演プログラムから)

写真3 バンクバー響来日公演チケット

写真4 ジョン・木村・パーカー(Pf) 来日公演プログラムから

写真5 デリア・ウォリス(Sop) 来日公演プログラムから

写真6 著者が聴いたのは来日公演プログラムA

写真7 「バンクーバー響の本拠地オルフェウム劇場」2012.10月筆者撮影