「カラヤン&ベルリン・フィル、ウィーン楽友協会合唱団」来日公演を聴く、1979
~ 1979年10月17日・18日・26日、普門館(東京・杉並)~
「カラヤン&ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団」の1979年来日公演は東京のみの公演で会場は1977年と同様、杉並の「普門館」で開催された。しかも10月21日からの後半のコンサートではカラヤンとは長年親密な関係にあった「ウィーン楽友協会合唱団」に豪華ソリスト歌手を迎えてのプログラムが展開された(写真1 1979年10月来日公演チラシの表)。写真のチラシは初版刷りのものでこの時点は裏面のヴェルディ「レクイエム」のテノールのソリストがまだ未定となっている(写真2 公演チラシ裏面)。私は注目されたマーラー「交響曲第6番イ長調」(10月17日)のほかシューベルト「交響曲第7番<未完成>(プログラムでは第8番)」/チャイコフスキー「交響曲第5番ホ短調」(10月18日)、ヴェルディ「レクイエム」(10月26日(最終日))を聴いた。結論から先に言えばどれもカラヤンらしい素晴らしい演奏だったが特にマーラーとヴェルディは期待以上の筆舌に尽くしがたい感激を得た。また日本でマーラー「第6番」をカラヤンとベルリン・フィルによる演奏で聴けたのは夢のようであった(写真3 1979年来日公演プログラム表紙)。ただこの演奏が収録放送されなかったことは個人的には甚だ残念だった。ヴェルディ「レクイエム」はカラヤンが得意とする作品、独唱歌手陣のアンナ・トモワ=シントウ(ソプラノ)、アグネス・バルツァ(アルト)、ニコライ・ギャウロフ(バス)は当時の「カラヤン組」、調整中だったテノールには当時新進気鋭のアルゼンチン出身のルイス・リマが起用され話題になった(写真4 豪華歌手陣)。この来日公演では10月21日のベートーヴェン「第9」を先ずNHKFMで全国生中継された。ただしステレオで生中継されたのはまだ関東・甲信越地区・名古屋・大阪中継局でこのほかの地域はモノラルでの生放送だったようだ。しかしこの公演は後に「NHK初のデジタル録音」としてCD化もされている。さらに筆者が聴いた18日公演のほか翌19日公演ドヴォルザーク「交響曲第8番」・ムソルグスキー(ラヴェル編曲)組曲「展覧会の絵」)並びに26日公演ヴェルディ「レクイエム」もこの年の年末、PCMステレオ回線全国開通を機にNHKFMで放送されている。2008年にリリースされた「カラヤン生誕100周年記念BOX」(NHK CLASSICAL限定発売)の中にもこれら3つの公演(10/18・10/19・ヴェルディ「レクイエム」は10/24公演*)が収められている(写真5)。
*ヴェルディ「レクイエム」が10月26日の演奏ではなく24日の未放送音源がCD化された経緯:当会の「特別企画イベント」で大変お世話になった「NHKメディアテクノロジー」の辻本廉氏(故人)から直接伺った話によれば10月24日の演奏もテスト録音としてカラヤンが許可したそうである。当初は24日と26日の演奏を別々にCD化する予定だったそうだが演奏者側の意向で24日の公演をベースにして第1曲目のアカペラの一部を26日公演に差し替え編集することで合意を得たとのことである。尚、CDBOXの録音データは「10月24日普門館」と記載されている。写真6と写真7は公演チケットである。