「レミ・バローのブルックナー交響曲」(1)
近年、ブルックナー・ファンの間で密かに話題となっているフランス出身の指揮者レミ・バロー(Rémy Ballot)(写真1 CDジャケット裏面掲載写真)のブルックナー交響曲にスポットをあててみたい。
オーストリア、リンツ近郊ブルックナーゆかりの「聖フロ―リアン修道院」で毎年8月に開催される「ブルックナー・ターゲ(Brucknertage)」(毎年9月にリンツで開催される「ブルックナー国際音楽祭」の前に開催される「聖フローリアン・ブルックナー音楽祭」)での彼が振るブルックナー交響曲は実にユニークで興味深い演奏で注目されている。 これまでに「第3番」・「第5番」・「第6番」・「第8番」・「第9番」、直近では「第7番」がリリースされたようである。 今回は彼の初のアルバムでもあり筆者も強烈なインパクトを受けた「第3番」を紹介したい。 この演奏は2013年8月23日に行われた「聖フローリアン・ブルックナー音楽祭」でのコンサート・ライヴ録音で管弦弦楽は1996年に結成された「ザンクトフローリアン・アルトモンテ管弦楽団(Altomonte Orchester St. Florian )」である。 「アルトモンテ」とはこの修道院に壮大なフレスコ画を描いた「マルティーノ・アルトモンテ」と「バルトロ―メオ・アルトモンテ」にちなんでつけられたそうである。 またこの演奏で使用された楽譜は一番長大な2056小節に及ぶ「1873年稿/ノヴァーク版第1稿」である。 この修道院の残響は約10秒ほど響き続けると云われており彼は演奏も全体的に極端に遅いテンポをとりパウゼ(休止)もたっぷりとっている。 従って全体の演奏時間も89分を超え聴きごえありで聴き手も集中力が必要だが聖堂の残響、重厚な響きに加えて会場の雰囲気もたっぷりと味わえ自然と吸い込まれてしまう。 しかもこのCD2枚組ではなく通常CD1枚に収録されているところにも驚いた次第である(写真2 CDジャケット-墺グラモーラGramola 99044 /写真3 各楽章演奏時間データ (CDブックレットから)。
(つづく)
ブルックナー交響曲3番ニ短調 WAB 103:(https://ml.naxos.jp/album/Gramola99044):聖フローリアン・アルトモンテ管/バロー