「レミ・バローのブルックナー交響曲」(2)

前回の続編「レミ・バローのブルックナー交響曲」は「第8番」・「第9番」でまとめたいと思う。
先ず「第8番ハ短調」のライヴ録音はオーケストラが変わり「オーバーエスターライヒ青少年交響楽団(Oberösterreichisches Jugendsinfonieorchester)と行われている。 CD解説によればこの楽団は「聖フロリアン修道院」が位置する「オーバーエスターライヒ州(州都リンツ)」の州立音楽学校やブルックナー私立大学等で研鑽を積む学生たちによって構成されたオーストリア国内はもとよりヨーロッパ各地のコンサートで活躍中のユース・オーケストラである。 バロー指揮によるこのCDも聖堂の残響を考慮したスロー・テンポで重厚な演奏が話題を呼んだ。 演奏時間なんとおよそ1時間45分、ブルックナーの壮大な響きをじっくりと味わえる。 ジャケット解説に特に記載はないが「ノヴァーク第2稿1890年版」を基本とした演奏と思われる。 先の「第3番」の翌年「2014年聖フローリアン・ブルックナー音楽祭」におけるライヴ録音でこのCDからマルチ・チャンネルの「SACD」となっている(写真1  バロー「ブルックナー交響曲第8番」CDジャケット 墺Gramola-99044 、2CD)/写真2  演奏時間等データ、CDブックレットより)。
続いて「第9番」はオーケストラが「ザンクトフローリアン・アルトモンテ管弦楽団」に戻り2015年8月21日の音楽祭におけるライヴ録音である。 これもまた演奏時間が1時間17分を超え聴き手を驚異的なブルックナーの世界に誘いこむ演奏である。 この演奏を生で聴き終えた聴衆の興奮度が伝わってくるような凄みを感じた(写真3  バロー「ブルックナー交響曲第9番」CDジャケット 、墺Gramola-99089/ 写真4  演奏時間等データCDブックレットから)。 尚、このCDにはボーナス盤として「第9番」の四手ピアノ編曲版が添付されている。 解説によればこの演奏はフェルディナント・レーヴェ改訂版を基にカール・グルンスキーという人が1911年にピアノ編曲したものを演奏者マティアス・ギーゼン、クラウス・ラチカが原典版に合わせて再構成したものである。 使用ピアノはギーゼンが弾くドイツの「ブリュ―トナー」とラチカが弾く日本の「ヤマハ」が用いられている。 2006年8月15日、同音楽祭ライヴ録音でコンサートは「聖フローリアン修道院」の「皇帝の間」で行われている。 こちらも大変興味深い貴重な1枚である(写真5  ボーナス盤・録音データ、CDブックレットから)。
(完)

ブルックナー:交響曲第8番WAB108(1890年ノヴァーク版):(https://ml.naxos.jp/album/Gramola99054):オーバーエスターライヒ・ユース響/バロー

写真1    レミ・バロー「ブルックナー交響曲第8番」CDジャケット(墺Gramola 99054)

写真2    「第8番」演奏時間データ(CDブックレットから)

写真3    レミ・バロー「交響曲第9番」CDジャケット(墺Gramola 99089)

写真4    「第9番」演奏時間データ(CDブックレットから)

写真5    「四手ピアノ版第9番」演奏データ(CDブックレット)