「私の昭和歌謡レコード史」(14)
今回は異彩なシングル盤を2枚取り上げてみたい。
そのひとつが当時「あごヒゲ」と「アフロヘアー」で「わかるかな、わかんねェだろうナ」のフレーズで爆発的人気を得た漫談家「松鶴家 千とせ」が歌う童謡「夕やけこやけ」を元歌にアレンジした「わかんねェだろうナ」のシングル盤である(写真1 「わかんねェだろうナ」松鶴家千とせ シングル・ジャケット、ビクター SV-6008 / 写真2 同盤レーベル面)。 なんとこのレコードの売り上げは累計150万枚を超え1976年度の「ビクター・レコード」ヒット賞も受賞している。 誰もが知る童謡などを素材にして彼独特の味のあるフレーズを見事に融合させ築き上げたスタイルに聴衆はハマってしまった。 現在も息の長い活躍をされているところも立派である。
そして2枚目は1985年リリース、「なぎら健壱」のシングル盤「ラブユー東京スポーツ」である(写真3 「ラブユー東京スポーツ」なぎら健壱 シングル・ジャケット、フォーライフ・レコード-7K-180 / 写真2-同盤レーベル面)。 彼は「フォーク歌手」「俳優」「エッセイスト」等々いくつもの顔を持つタレントである。 タイトルにある「東京スポーツ」は「力道山時代」筆者が小・中学生のころから愛読していた当時駅売り「10円」のプロレス専門スポーツ新聞である。とにかく「赤字」の大げさな見出しが目をひいた。 タイトルのように「東京スポーツ」大好き人間のコミック・ソング、スタジオに聴衆を入れての録音か否かは(?)わからないが拍手も入っている。 また「B面」の曲は「下町」と書いて「まち」とフリガナがふってあるが下町のノスタルジアを歌った味わい深い作品となっている。もちろん両曲とも作詞・作曲は本人「なぎら健壱」である。
(つづく)