オットー・ゲルデス&都響を聴く、1973

オットー・ゲルデス指揮 第58回都響定期公演、1973年11月29日、東京文化会館

ドイツ、ケルン出身のオットー・ゲルデス(Otto Gerdes/1920-1989)が来日、「東京都交響楽団」の指揮台に立ち得意の「オール・ブラームス・プログラム」を振ったのは1973年11月29日「都響第58回定期公演」(東京文化会館)であった(写真1 オットー・ゲルデス/写真2 都響第58回定期プログラム表紙)。彼は「ドイツ・グラモフォン」の高名な録音プロデューサーとしても活躍、録音技師ギュンター・ヘルマンスと組みカラヤン1960年代の名録音をほとんど手掛けたことでも知られている。指揮法は巨匠ヘルマン・アーベントロートに学び指揮者としては戦後まもなく活動を開始している。彼は指揮者とレコーディング・プロデューサーも兼務する当時として大変貴重な才能の持ち主でもあった。
さてこの都響との初顔合わせはブラームスの「悲劇的」序曲で会場の緊張感が増し、続くソリストに江藤俊哉を迎えての「ヴァイオリン協奏曲」ではブラームスの美しい旋律の抒情性にウットリさせられた。メインの「第4交響曲」、ゲルデスはベルリン・フィルと録音済みLPも当時リリースされていた(写真3 「第58回定期公演演奏プログラム」/写真4 「ブラームス第4番」オリジナルLPジャケットによるCD復刻盤(2011年リリース<カラヤン'60s CD BOX特典CD>)。プログラム構成もよくとにかく満喫できたコンサートであった(写真5 第58回定期公演チケット)。
このほか彼のレコードでは「ヘリオドール(グラモフォン廉価盤)」に1960年代中期に録音した「ドヴォルザーク/交響曲第9番<新世界から>」も忘れることができない1枚である(写真6 英国HELIODOR LPジャケット、89 630)。

写真1 オットー・ゲルデス(Otto Gerdes、インターネット画像から)

写真2 オットー・ゲルデス&都響第58回定期プログラム表紙(1973)

写真3 オットー・ゲルデス&都響第58回定期演奏プログラム

写真4 ゲルデス&ベルリン・フィル ブラームス第4番復刻CDジャケット

写真5 ゲルデス&都響第58回定期公演チケット(1973)

写真6 ゲルデス&ベルリン フィル ドヴォルザーク「新世界から」英ヘリオドールLPジャケット