カラヤン&ベルリン・フィルを聴く、1970

カラヤン&ベルリン・フィル来日公演を聴く、1970年5月17日、東京文化会館

1970年は日本で初めて「国際博覧会」である「大阪万博(EXPO'70)」が開催され「EXPOクラシックス」催事に世界の著名オーケストラが数多く参加した。ヘルベルト・フォン・カラヤン率いるベルリン・フィルハーモニー管弦楽団も5月8日から12日の休演をはさみ14日まで「大阪フェスティバルホール」で「ベートーヴェン交響曲チクルス」をメイン・プログラムに公演を行った。「第9」のソリストにはリゼロッテ・レープマン(ソプラノ)、ブリギッテ・ファスベンダー(アルト)、ヴェルナー・ホルヴェーグ(テノール)、ゾルタン・ケレメン(バス)と懐かしい歌手陣が並ぶ。また大阪最終公演にはドイツの現代作曲家ヴォルフガング・フォルトナー(Wolfgang Fortner/1907-1987)の前年1969年作曲の管弦楽曲「マルギナーリエン(Marginalien)」(よき犬に捧ぐ)という文豪トーマス・マンの短編小説「主人と犬」を題材とした作品も演奏されている。カラヤンにしては珍しい。おそらくこの演奏が日本初演ではないかと思われる。
東京公演は大阪公演後の16日から21日まで(19日休演)東京文化会館、最終日の22日は特別演奏会として日比谷公会堂で開催された(写真1 東京公演プログラム表紙)筆者は17日の公演オネゲル「交響曲第3番<典礼風>」、ドヴォルザーク「交響曲第8番」」を聴いた。東京公演はバラエティーに富んだプログラム構成が興味深かった(写真2 東京公演日程と演奏プログラム)。カラヤンはオネゲルの「交響曲第2番」と「第3番<典礼風>」をすでに1969年ベルリン・フィルと録音し(写真3 独グラモフォン初出LP-2530068ジャケット)コンサートでも取り上げ始めていた。この'70年来日公演時にはまだこのLPはリリースされてなかったが筆者はアンセルメ&スイス・ロマンド管のレコードを聴きぜひカラヤンの演奏でも聴いてみたいと思っていた。まさにちょうど運よく願いがかなったコンサートにもなった。当時カラヤンは62歳、70年代に入り指揮者として絶頂期にさしかかり枯淡の味も出始めていた(写真4/5 カラヤン/「1970年東京公演プログラム」から)。

写真1 1970年カラヤン&ベルリン フィル来日東京公演プログラム表紙、白に凹凸の文字も白で文字がみずらいがご容赦を「HERBERT KARAJAN BERLINER PHILHARMONISCHES ORCHERSTER」と記載されている

写真2 1970年カラヤン&ベルリン フィル東京公演日程 演奏曲目

写真3 カラヤン&ベルリン フィル  オネゲル「典礼風」独グラモフォンオリジナルLPジャケット

写真4 ヘルベルト・フォン・カラヤン(1970年公演プログラムから)

写真5 ヘルベルト・フォン・カラヤン(1970年公演プログラムから)