ギュンター・ヴァントのブル8を聴く、1983、1990
~NHK交響楽団第918回定期公演 1983年12月15日 NHKホールにて~
~北ドイツ放送交響楽団来日公演 1990年11月3日 サントリーホールにて~
筆者がギュンター・ヴァントのブルックナー「交響曲第8番」のレコードを最初に買い求めたのは彼が「ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団」を指揮したライヴ盤(1971年10月録音/写真1 独BASF盤2LP)だったと思う。当時1970年代は彼の日本での注目度はまだそれほど高くなかったが彼は1968年5月には初来日、「読売日本交響楽団」の5月・6月定期に客演し6月定期ではこのブルックナーの第8番を振っている。筆者は残念ながらこの演奏は聴き逃したがそれから15年後1983年12月N響第981回定期公演での演奏は当日券を求めNHKホール2階席で彼が指揮する「第8」をじっくりと聴きこんだ(写真2 「N響フィルハーモニー1983年12月表紙」/写真3 1983年Bプロ-ブルックナー交響曲第8番/写真4 公演チケット当日券)。ヴァントは当時71歳、先のレコードと同様に深みのあるブルックナーを聴かせていた。彼は1974年から81年にかけ「ケルン放送交響楽団」とブルックナー交響曲全集録音(独harmonia mundi)を完結していたがこのレコードの評価もイマイチだったと記憶している。筆者としては当時ヴァントの人気が上がらないのは何故かと疑問が湧いたほどだ。しかし1982年「北ドイツ放送交響楽団」の首席指揮者に就任したのを転機に彼の人気度は徐々に上昇し始める。1990年11月、「北ドイツ放送響」は前回'87年のシャルル・デュトワとの初来日に続き再来日を果たす。またこの公演には当時首席客演指揮者のポーランドを代表する作曲家でもあるクシストフ・ペンデレツキも同行した。筆者は公演初日11月3日のヴァントが指揮する「ブルックナー第8番」を会場のサントリーホールで聴いた。前回のN響客演から7年が経過ヴァントも78歳、さらに円熟味が増したコクのある「第8番」を満喫した(写真5 1990年北ドイツ放送響プログラム表紙/写真6 筆者が聴いたAプロ)。