クナッパーツブッシュの超個性的”ベートーヴェン交響曲”ライブ盤

今回は筆者が強烈な印象を受けたハンス・クナッパーツブッシュの超個性的ベートーヴェン交響曲ライブ盤を取り上げてみたい。 いずれも1997年にフランスのターラ(TAHRA)レーベルからリリースされた初出音源の「交響曲第3番”エロイカ”」と「交響曲第5番」で前者が1951年5月9日、後者が1962年3月20日のライブ(モノラル)録音である。 オーケストラは「エロイカ」が北ドイツの古都ブレーメンに本拠を置く「ブレーメン・フィルハーモニー管弦楽団」、「第5番」はフランクフルトのヘッセン放送交響楽団(フランクフルト放送交響楽団)ちなみに前者「ブレーメン・フィル」は日本ではあまり馴染みがないが1825年創立で200年近い歴史を持ち1950年代にはオランダの名匠「パウル・ファン・ケンペン」も首席指揮者を務めた由緒ある楽団である。 演奏はどちらもかなり遅いテンポで進めるクナの棒が特徴的だが「エロイカ」は一言で表現すればデフォルメ的な演奏に引きつけられる。 また「第5番」に至っては演奏時間もおよそ40分(「第4楽章」前半の反復なし)という超スローテンポなのだが「第4楽章」フィナーレの堂々とした締めはさすがに凄さを感じる。 録音状態もまずまず良好である。 「エロイカ」のコンサート会場ブレーマー・グロッケ(Bremer Glocke)はカラヤンもヨーロッパで最良のコンサート・ホールの一つと称讃したというエピソードがある(写真1  クナッパーツブッシュ&ブレーメン・フィル「エロイカ」CDジャケット仏TAHRA THA 217 / 写真2  同、演奏・録音データ/写真3  クナッパーツブッシュ&ヘッセン放送響「ベートーヴェン交響曲第5番」ほかCDジャケット(仏TAHRA THA-213)/写真4  同、演奏・録音データ)。

写真1    H. クナッパーツブッシュ&ブレーメン・フィル「ベートーヴェン交響曲第3番「エロイカ」」1951年ライブ盤CDジャケット(仏TAHRA- TAH 217)

写真2    写真1演奏・録音データ

写真3    H. クナッパーツブッシュ&ヘッセン放送響「ベートーヴェン交響曲第5番ほか」ライブ盤CDジャケット(仏TAHRA-THA 213)

写真4  写真3演奏・録音データ