ケルン時代のギュンター・ヴァント

ブルックナーのスペシャリストとして知られるギュンター・ヴァント(Günter Wand、1912~2002)初来日はもう半世紀余り前に遡り1968年「読売日本交響楽団」への客演だった。 当時、日本ではまだ彼の名前はほとんど知られてなかったがブルックナー「交響曲第8番」をプログラムに取り上げている(1968年6月東京文化会館) 。

彼は生まれ故郷「旧エルバーフェルト(Elberfeld)」―現 ヴッパータール(Wuppertal)にほど近い大聖堂で有名なKöln(写真1-1977年筆者撮影)を本拠とする歴史あるオーケストラのケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団(Güryenich-Orchester, Köln)の首席指揮者(音楽監督)を1947年から四半世紀余りに渡り務めあげた。 このケルン時代、彼は二つのブルックナー「交響曲第8番」のレコード録音を残している。
その一つは自身のケルン市音楽総監督就任25周年記念コンサートにおける1971年10月3日のライブ録音である。 この演奏ではヴァントがやや速めに振る「第8番」が興味深かい。 紹介盤は2002年、英スクリベンダム(SCRIBENDUM)よりデジタル・リマスターされたCD盤、2002年にリリースされた(写真2 CDジャケット、英SCRUBENDAM SC 007)。

余談ながらこのギュルツェニヒ管弦楽団の初来日は昨年2002年のことだった。 現在の音楽監督フランソワ=グザヴィエ・ロト(François-Xavier Roth)と共に来日、筆者も7月3日に東京オペラ・シティ・コンサートーホール公演に足を運んだ。 プログラム後半に演奏されたブルックナー「交響曲第4番 ”ロマンティック”」(1874年初稿版)にロトの凄みを感じた次第である (写真3 当日会場で配布されたプログラム)。

そして話を戻しさらにケルン放送交響楽団(現、WDR交響楽団)」との1979年のセッション盤「第8番」もあわせて忘れることができない。 彼が1974年から1981年にかけてこの楽団と取り組んだ初の「ブルックナー交響曲全集録音」からの分け売り、「第5番」並びにこの「第8番」は「ドイツ・レコード賞」受賞の名盤である。 紹介ジャケットは1982年にテイチクよりリリースされた国内盤2LPである (写真4 LPジャケット、国内盤テイチク-ハルモニア・ムンディ-ULS 3276-77-H)。

写真1    ケルン大聖堂とライン川に架かるホーエンツォレルン橋(筆者撮影1977年)

 

写真2    CDジャケット(英SCRIBENDUM-SC 007)

 

写真3    当日会場で配布されたプログラム

 

写真4    2LPジャケット(国内盤テイチク-ハルモニア・ムンディ-ULS-3276-77-H)