”コンサート・ホール・ソサエティ盤”の魅力的ジャケットから(1)

「コンサート・ホール・ソサエティ(Concert Hall Society)」は日本では1960年代から70年代中ごろまでクラシック音楽ファンに重宝された会員制廉価通信販売のレコード会社だった。 会員制といっても筆者の記憶では入会金も会費も不要で年に4~5枚程度カタログの中から好きなLPを注文すればOKだったと思う。 そんなことから筆者も高校・大学の学生時代に一時買い求めた思い出がある。 登場するアーティストも当時まだ日本に知られていない指揮者、ピアニスト等々が多数見受けられたが一方ではカール・シューリヒトやピエール・モントゥーなどの著名な指揮者もラインナップされていた。 ただオーケストラなど演奏団体はその実体が不明なもの、俗に「覆面オーケストラ」とか「幽霊オーケストラ」と思われるものもありこれもまた興味深かった。 さらにジャケット・デザインも個性的で魅力あるものが多かったので今回から数回に分けてコレクションから紹介してみたいと思う。
今回は筆者が高校時代1960年代半ばごろまではまだ25cmLP(10インチ盤)も販売されていたのでその中から1枚紹介したい。 ワルター・ゲール(Walter Goehr/1903-1960)が「アムステルダム・フィル」を指揮したものでストラヴィンスキー「舞踊組曲”火の鳥”」と「ピアノと管楽器のための協奏曲」のカップリング。 ピアノはノエル・ミュートン=ウッド(Noël Mewton-Wood)、モノラル録音だが音質も良好でこのジャケット・デザインもなかなか粋である。 指揮のワルター・ゲールはドイツ、ベルリン出身でロシアものを得意としたそうである。 またピアノのノエル・ミュートン・ウッドは1921年オーストラリア出身、アルトゥール・シュナーベルに師事しイギリスを中心に活躍したピアニストだったようで1953年に32歳の若さで亡くなっている(写真1  「コンサート・ホール盤25cmLPジャケット」-ストラヴィンスキー「火の鳥」ほか M-64A/ 写真2  同盤レーベル面)。
(つづく)

写真1    コンサート・ホール盤25cmLPジャケット-ストラヴィンスキー「火の鳥」ほか( M-64A)

写真2    写真1のレーベル面」