サントリーホール第1回音響実験を聴く、1986

1986年4月5日、「新交響楽団 ゲネラル・プローベ」、

マーラー 交響曲第8番<千人の交響曲>

1986年3月下旬、「つくば万博協会催事部」で行動を共にしたM氏から久しぶりに電話が入った。内容は今度10月にオープンする「サントリーホール」で第1回目の「公開音響実験」があるので来てみないかとのことだった。これは貴重な体験と思い二つ返事で「よろしくお願いします。」と返答、するとすぐ写真の「入場整理券」が送られてきた(写真1)音響実験は本番を明日に控えた山田一雄が指揮する「新交響楽団」によるマーラーの大曲「交響曲第8番<千人の交響曲>」のゲネラル・プローベ(本番どおりの通しリハーサル)で行われた。オープン前の「サントリーホール」の入り口では靴カバーが渡されカバーを付けての入場となった。席はブロックごとに分けられ筆者の席は2階席センターブロックだった。ゲネプロなので通常のコンサートと同様、先ずはオーケストラ・メンバー及び合唱団が入場・着席、続いてコンサート・マスターが入りチューニング、ソリスト、指揮者の山田一雄が登場し演奏が開始される。オープン前の新築のサントリー・ホール、まさに内覧会のような新鮮な気分で筆者も含め参集した満員の聴衆の興奮度も高まっていく。正直な話、筆者は専門的な「音響学」については全く無知の世界だが以前に「バイロイト祝祭劇場」を訪れたときこの劇場自体が楽器であるという話を伺ったことがある。確かに「コンサート・ホール」の音響は聴衆収容時と空席時ではホールの残響も微妙に異なってくるだろうしまさに大合唱団を要するこのマーラー作品は実験に最適であったのだろう。とにかく貴重な体験をさせていただいたことに感謝している(写真2 「サントリーホール・オープニングシリーズ総合プログラム表紙/1986年10月12日~1987年3月28日」)。

写真1 サントリーホール第1回音響実験、入場整理券

写真2 サントリーホール/オープニングシリーズ総合プログラム(1986年10月12日~1987年3月28日