シュトラウスの歌劇「カプリッチョ」を観る

ザルツブルク音楽祭(祝祭小劇場)、1987

R.シュトラウス歌劇「カプリッチョ」を観る- 1987年8月10日、ザルツブルク-

この年の「ザルツブルク音楽祭」はミヒャエル・ハンペ演出、ヘルベルト・フォン・カラヤンが指揮したモーツアルト歌劇「ドン・ジョヴァンニ」が大変な人気を呼び凄かった。一方、今回紹介する8月10日「祝祭小劇場(Kleines Festspielhaus)」での公演、R.シュトラウスの最後のオペラ「カプリッチョ」(写真1 当日配布されたプログラム表紙)は日本でほとんど生を聴くチャンスがない。これまでレコードでサヴァリッシュやベームの演奏など聴いてはいたが今回はルチア・ポップ(写真2 当日配布された写真アルバム小冊子から)が伯爵夫人を演じるとのことで期待を持って出かけた。小劇場といっても観客数1200名程度は収容できる劇場で現在はリニューアルされ「モーツアルトのための劇場(Haus für Mozart)と呼ばれているようだ。このオペラは1幕もので切れ目なしで演奏される。上演時間約2時間半。オペラの台本は作曲者R.シュトラウスと親交が深かったクレメンス・クラウスと共同で手掛けている。聴きどころはやはり場面転換の「月光の音楽」から「伯爵夫人のモノローグ」にかけてであろう。指揮のホルスト・シュタイン(写真3)とウィーン・フィルの美しい響きと共にルチア・ポップ(ソプラノ)の美声に酔う。共演者では兄の伯爵を歌ったヴォルフガング・シェーネ(写真4 写真アルバム小冊子から/写真5 シェーネに入れてもらったサイン)のバリトンも良かった。さらに当時売り出し中のソプラノのエヴァ・リンドと日本の名テノール山路芳久(写真6 写真アルバム小冊子から)が共演し熱演だった。山路芳久は当時ヨーロッパの各歌劇場で活躍中だったが翌年12月、心臓発作のため38歳の若さで急死、日本の声楽界に激震が走った。ヒロインのルチア・ポップも数々のオペラの名録音を残したが1993年に癌のため54歳で亡くなった。演出はヨハネス・シャーフが担当、彼は当時ウィーン国立歌劇場をはじめとしてオペラ演出で活躍していた。また舞台セットと衣装はアンドレアス・ラインハルトがあたっていた。(写真7 スタッフ等々一覧)(写真8 キャスト一覧)(写真9 カプリッチョ チケット)(写真10 1987年ザルツブルク音楽祭総合プログラム)

写真1 当日配布されたカプリッチョのプログラム表紙

写真2 カプリッチョで伯爵夫人を歌ったルチア・ポップ(Sop)

写真3 カプリッチョでウィーン・フィルを指揮したホルスト・シュタイン

写真4 伯爵夫人役のルチア・ポップ(Sop)(左)と兄の伯爵役のヴォルフガング・シェーネ(Bar)(右)

写真5 伯爵役のヴォルフガング・シェーネ(Bar)に入れてもらったサイン

写真6 イタリア人歌手役の山路芳久(Ten)(左)とエヴァ・リンド(Sop)(右)

写真7 ザルツブルク音楽祭1987 カプリッチョのスタッフ等々一覧

写真8 ザルツブルク音楽祭1987 カプリッチョのキャスト一覧

写真9 ザルツブルク音楽祭1987のカプリッチョ・チケット

写真10 1987ザルツブルク音楽祭総合プログラム表紙