ジャケ買いレコード(1)
「ジャケ買い」とはレコード、CDなどを内容は二の次でその「ジャケット・デザイン」が気に入りその場ですぐ購入してしまうことを云うそうだ。 筆者もその癖があるコレクターのひとりである。 今回はその昔、ジャケ買いして演奏も気に入ったレコードから何枚かピック・アップし数回に分けて紹介したいと思う。
先ずは発売元が「日本ビクター」に移る前の「新世界レコード」からショスタコーヴィチ「ピアノ五重奏曲ト短調作品57」とラヴェル「ピアノ三重奏曲イ短調」を収めた1枚である。 前者は作曲者ショスタコーヴィチ自身のピアノ、当時旧ソヴィエト最高の「四重奏団」と云われた「ベートーヴェン弦楽四重奏団」との1952年の貴重録音、後者も当時の最高のトリオ、オーボリン(ピアノ)・オイストラッフ(ヴァイオリン)・クヌシェヴィツキー(チェロ)による演奏、こちらも1952年の録音でモノラル録音だが録音史に残る名演である。 ジャケットはメロディアの「オリジナル」を使用か(?)と思われる(写真1 新世界レコード、LS-3)。
次はこれも時代を感じる「米RCA キャムデン(Camden)」からセルゲイ・クーセビツキーの「ボストン交響楽団」音楽監督時代のモノラル録音でベートーヴェン 交響曲第3番変ホ長調「英雄」、このサイケ調のデザインが気に入り求めた1枚(写真2 RCA Camden CAL 404)。
続いてウィレム・ヴァン・オッテルローがベルリン・フィルと1955年に「フィリップス」に録音したベルリオーズ「幻想交響曲」。 モノラル録音だが素晴らしい音質で誉れの高い演奏である。 この派手なジャケット・デザインに惹きつけられてしまった(写真3 英フィリップスABL 3019)。
今回最後は「ドイツ・グラモフォン」のステレオ録音でバルトークの作品、舞踊音楽「中国の不思議な役人」・「カンタータ・プロファーナ」の2曲を収めた1枚、演奏は前者ヤーノシュ・フェレンチク指揮ブダペスト・フィル・合唱団、後者がジェルジ・レヘル指揮ハンガリー国立放送管弦楽団・合唱団によるものである。 後者の指揮者ジェルジ・レヘルは1979年3月にロンドンで「ブダペスト交響楽団」とのコンサートを聴く機会があった(漫遊記14)。 この中国の役人をデザインしたジャケットにインパクトを感じた(写真4 国内盤グラモフォン-SLGM1281 1962-63年ステレオ録音)。
(つづく)