ジャケ買いレコード(2)

先ず「35mm磁気フィルム録音」からアナトール・フィストゥラーリ指揮ロンドン交響楽団のハチャトゥリアンの舞踊組曲「ガヤーネ」の国内初出盤LPジャケットである。 この何とも言えないこれもまた奇抜なデザインがコレクターの購買意欲を誘った1枚だった(写真1  日本ビクター「TOP RANKレーベル」-SRANK 5511)。 「35mm磁気フィルム録音レコード」については既に「漫遊記315」で取り上げているがこのLPは「米EVEREST」原盤の国内初出盤でもあった。 詳細な録音年等は不明だがおそらく1960年前後と思われる。 ところで指揮のフィストゥラーリは舞踊音楽を大変得意とした指揮者で1978年7月に初来日、「読売日響第144回定期公演」に客演している(写真2  アナトール・フィストゥラーリ 読売日響第144回定期プログラムから)。
次は1987年12月ブダペストのレコード店で思わずジャケ買いした「フンガロトン盤」、LPにはシェーンベルクの傑作のひとつ「月に憑かれたピエロ」ほかが収録された1枚である(写真3 Hungaroton LPX 11385 1969年録音)。 ジャケット・デザインにはハンガリーの画家「パップ・オスカー(Papp Oszkár)」が描いた「月に憑かれたピエロ(Pierrot Lunaire)」がアレンジされている。 因みに演奏はアンドラーシュ・ミハーイ指揮ブダペスト室内アンサンブル、エリカ・シクライ(ソプラノ)のシュプレッヒシュティンメ(Sprechstimme)、つまり語るように歌われている。
今回のラストは「仏パテ盤」から2枚、ジュール・マスネ「ピアノ協奏曲」と「ピアノ小品」(写真4  仏パテ・マルコニ-2901891 1975-79年録音)アルベール・ルーセル「小管弦楽のためのコンセール」と「交響曲第2番」が収録されたLP(写真5 仏パテ・マルコニ 2C 069-73096 1981 年録音)でどちらも珍しい組み合わせである。 演奏は前者がアルド・チッコリーニ(ピアノ)シルヴァン・カンブルラン指揮モンテカルロ国立歌劇場管弦楽団、後者がピエール・デルヴォー指揮コロンヌ管弦楽団となっている。 この2枚のジャケット・デザイン、前者、カリカチュア(Caricature)による「マスネ」がピアノを弾く姿、後者フランスの画家「オディロン・ルドン(Odilon Redon)」の絵画「ルーセルの降霊(Evocation de Roussel)」に思わず誘われてしまった。
(つづく)

写真1    フィストゥラーリ&ロンドン響 /「ガヤーネ」組曲 (TOP RANK -SRANK 5511)

写真2    アナトール・フィストゥラーリ(読売日響第144回定期公演プログラムから)

写真3    シェーンベルク「月に憑かれたピエロ」ほか(Hungaroton LPX11385)

写真4    マスネ「ピアノ協奏曲」ほか チッコリーニ(Pf)/カンブルラン指揮モンテカルロ国立歌劇場管(仏パテ2901891)

写真5    ルーセル「交響曲第2番」ほか / デルヴォー指揮コロンヌ管 (仏パテ 2C 069-73096)