ジャケ買いレコード(5)

今回は先ずジョージ・セル&アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団によるシベリウス「交響曲第2番」(1964年録音)のLPジャケットから進めてみたい。 このLPはオランダ・フィリップス「ユニヴェルソ・シリース(Univer Series)」からの1枚である(写真1  蘭フィリップス 6580 051)。 1965年の初出盤だったと思う。 ジャケットのイラスト・デザインはシベリウスの生まれ故郷フィンランド、ハメーンリンナ近郊アウランコ自然公園の湖水地帯をイメージしたものだろうか? なかなか味のあるデザインである。
続く(写真2)は独EMI 盤のオットー・クレンペラーが指揮する「シューマン交響曲全集・ピアノ協奏曲ほか」を収めた3LPボックス・セット、ジャケット・デザインにはドイツの画家ハンス・トマ(Hans Thoma)が描いた「ゼッキンゲン近くを流れるライン河」(Der Rhein bei Säckingen)の美しい情景が使用されている(独EMI-1C 197-52 497-499)。
(写真3)のLPはスウェーデンの名匠シクステン・エールリンク(Sixten Ehrling)が1968年にロンドン交響楽団と録音したベルヴァルド(Berwald)の「交響曲第3番“風変わりな“」・「交響曲第4番」を収めたものである。 スウェーデンの作曲家フランツ・ベルヴァルド(1796-1868)は日本では馴染みが薄いが近代スウェーデン音楽の礎を築きあげた人である。 このレコードは「スウェーデン・ソサエティ・ディスコフィル盤(Swedish Socity Discofile)」で筆者が1980年にストックホルムを訪れた際に求めた1枚だった(写真3-Swedish Society Discofil-SLT 33261)。ジャケットにはスウェーデンの画家「カール・ヨハン・ビルマルク(Carl Johan Billmark)」のリトグラフ19世紀の「ストックホルム王宮の風景」が使用されている。
今回のラストはサイモン・ラトル、新進指揮者時代の録音からの1枚である。 共演のロシアのピアニスト、アンドレイ・ガヴリーロフもラトルと同じ1955年生まれ、彼は1974年度の「チャイコフスキー国際コンクール」に優勝し世界的に名をあげた。 収録作品はプロコフィエフ「ピアノ協奏曲第1番」ラヴェル「左手のためのピアノ協奏曲」ほかである。 1977年録音なので二人ともまだ22歳である。 ジャケットには近代フランスの画家ユトリロ(Utrillo)の「パリのスヴェスト通り(La Rue Seveste,Paris)」(1923)使用されている。 この粋なジャケットに惹かれてしまった(写真4  東芝EMI-EAC 71009)。

(つづく)

写真1    セル&コンセルトヘボウ/シベリウス交響曲第2番(蘭フィリップス-6580 051)

写真2    オットー・クレンペラー「シューマン交響曲全集ほか」(独EMI 1C 197-52 497-499 3LPBOX)(https://ml.naxos.jp/album/5099940430959)

写真3    シクステン・エールリンク&ロンドン響/ベルヴァルド交響曲第3番・第4番(Swedish Socity Discofil SLT 33261)(https://ml.naxos.jp/album/ABCD-037)

写真4    ラトル&ガブリーロフ(Pf)/ ロンドン響「プロコフィエフ&ラヴェル」(東芝EMI EAC 71009)(https://ml.naxos.jp/album/825646116591)